二酸化炭素を吸収するコンクリートができた

私たちはこれまで、地中深くから化石資源を掘り起こし、消費することで、大気中にどんどん二酸化炭素を放出してきました。

しかし、大気中に増えてしまった二酸化炭素を原料として、コンクリートなどの物質に固定することができたなら、地球温暖化を抑制する対策として大きな役割を担えるかもしれません。

東京大学大学院工学系研究科の野口貴文教授らは、2021年に世界で初めて「大気中の二酸化炭素と水を原料に、完全リサイクル可能なカーボンニュートラルコンクリート」の開発に成功しました。

リサイクルしてさらに二酸化炭素も吸収してしまう

コンクリートの原料になる石灰石や砂利の資源が、将来的に不足するのではないか、と野口教授は考えており、その一環として、コンクリートのリサイクルに関する研究を進めています。

野口教授と北海道大学や東京理科大学、清水建設、太平洋セメントなど民間企業は共同でプロジェクトを立ち上げました。

それは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の開発事業「C4S研究開発プロジェクト」です。

その中で考案されたのが、コンクリートに含まれるカルシウムに大気中の二酸化炭素を吸収させた上でリサイクルする、「炭酸カルシウムコンクリート」でした。

世界では毎年約40億トンものセメントが生産されています。

これと同じ量のセメントが廃棄物となった場合、そこに含まれるカルシウムの量から、最大で約20億トンの二酸化炭素を吸収できる計算になるといいます。

二酸化炭素を吸収するコンクリートの正体とは?

建築物などを壊した際に生じる廃コンクリートを粉砕した後、細かなかけらに大気中の二酸化炭素を吸収させることで炭酸カルシウムの粉末を作ります。

これを水に溶かすことで作られた水溶液を、再びコンクリートを作る際の材料として活用しようと、野口教授は考えました。

炭酸カルシウムは、温度が低いほど水に溶けやすく、温度が高いほど水に溶けにくくなる物質です。

野口教授らは、二酸化炭素を吸収させた廃コンクリートの粗い粒子を型に詰め込んだ後、その隙間を満たすように炭酸カルシウムが溶けた水溶液を注入します。

そこに熱を加えると、水に溶けていた炭酸カルシウムがコンクリートの粒子の隙間で結晶を作り、粒子同士をくっつける「糊」のように働きます。

この結果、コンクリートの原料として必要な砂や砂利などの資源を廃コンクリートに置き換えることで石灰石の消費を抑えてくれます。

さらに、大気中の二酸化炭素をコンクリート内に固定できる、新たなコンクリートを生み出すことに成功したのです。

大阪万博までに実証実験を目指す

現状で大きな課題に直面しています。強度が弱すぎるのです。

野口教授らが開発した手法で作られたコンクリートは、型に詰め込んだ廃コンクリートの粒子の隙間を炭酸カルシウムでくっつけることで、コンクリートのような建設材料になります。

この隙間の全てに炭酸カルシウムで接着させることが、コンクリートをより強くします。しかしこれが難しいのです。

研究グループでは、2025年の大阪万博における模擬的な構造物の建設、そして2030年には、低層建築物の建設実証を目指すとして、試行錯誤の日々が続いています。

建物を作る際に、この二酸化炭素を吸収するコンクリートを使うことができれば、大気中の二酸化炭素濃度を積極的に減らしていくことができます。

これは地球温暖化の抑制に貢献できるため、大きく期待したいですね。



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