50代からの「うつ」は武道で吹っ飛ばせる。

医学の発達や生活環境の向上で人生100年時代と言われるまでに寿命が延びました。

そんな中、最近問題となっているのが「初老期うつ病」と呼ばれるものです。人生に新鮮味を感じられず、何を見ても心が動かない。

このまま歳を取っていくのかという虚しさのようなものが込み上げてくる。次第に気力を失い、活動力が落ちてしまう。

50歳を過ぎた頃から現れるようになるこのような抑うつ状態を「初老期うつ病」というのだそうです。

放っておくと心にはびこる

雑草というのは、放っておくとあっという間に伸びて生い茂ります。自宅に庭がある人ならよくわかると思いますが、少し気を抜くと本当にびっくりするくらい伸びている。

実は「うつ」という気分も、放っておくと雑草のように心にはびこるものです。雑草はとにかく早めに抜くこと。

地面から少し顔を出したら、小さなうちに摘み取ってしまわないと大変なことになります。

50代からは「武道」が良い

スポーツをやっている人、身体を動かしている人はうつ状態になりにくいと言われます。

スポーツは身体を動かすという意味もありますが、勝負の世界で気持ちをピンと張ることがよい効果をもたらします。

でも50代になっていきなりに格闘技のようなスポーツを行うのは負担が大きいものです。むしろ、呼吸や身のこなしを大切にする型を重視したものが適しているでしょう。

例えば、合気道、居合道、杖道、その他の古武道です。江戸時代にはスポーツという概念はありませんでした。

武道は殺人の技術からスタートしましたが、江戸の太平な時代には次第にスポーツ化していきました。

それでも、西欧のスポーツとは身体の使い方が全く違います。わたしたちのDNAには、千年以上の農耕生活が刻み込まれています。

立ち方、座り方、歩き方等にその影響が見られ、これはすべての日本文化の所作に通じています。

ですから日本の武道は高齢になっても続けることができます。年寄りだからといって軽んじられることはありません。

柔道でも剣道でも、段位が上の人は皆、ある程度年齢が高い人たちです。これは単に実力があるからといって昇段するわけではないという、認定システムに由来しています。

例えば剣道では初段が13歳以上であること、二段は初段受有後、1年以上修行を続けていること、三段は二段受有後、2年以上修行を続けている場合があります。

修行の必要年数が、段が上がるごとに1年ずつ増えていくのです。

長く続けた人、また年齢を重ね精神的にも円熟した人をリスペクトし評価するという基本姿勢が武道にはあるのです。

単に力や技術だけでないということです。試合をして勝つほうが偉いとか上だとは考えていないことがポイントです。

人間、同じことをずっと長く続けているとどうしてもマンネリになり、飽きがきてしまいます。その点、日本の武道は長く続けることに重きを置いています。

このような精神文化を背景にした武道を続けている人は、マンネリズムによって起こる精神の停滞を、おのずと寄せ付けません。

うつになりにくい精神構造を身に付けていると言っていいと思います。

武道で心の雑草を抜き、晴れ晴れした人生後半を生きることが可能なのです。



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