デンタルフロスを使うと、物忘れ防止になる。

「眼鏡を頭の上に乗せたり、首元にかけたことを忘れて、”眼鏡がない!”と大騒ぎする」「財布や鍵を置いた場所がわからなくなる」こうした経験がある人も少なくないはずです。

人は、見たり聞いたりしたことを全て記憶できるわけではないため、年齢にかかわらず偶発的な物忘れはある程度仕方ありません。しかし、物忘れでも、深刻な病気の可能性があることには注意が必要です。

アルツハイマーとは?

アルツハイマー病は高齢者に降りかかる最悪の不運のひとつだといわれています。この神経変性疾患に侵されると、生涯の記憶がゆっくりと消え、やがて愛する人々のことさえ思い出せなくなり、残酷な終焉を迎えることになります。

この病気の特徴は、脳にタンパク質のプラークが現れることです。プラークとは、アミロイドβと呼ばれるペプチド(鎖状につながったアミノ酸)が凝集し、小さな塊になったものです。

この塊ができる理由は未だ解明されていませんが、この塊が脳内で炎症を引き起こし、やがて脳細胞を死滅させることで病気を発症するといわれています。

治療薬はあるのに、効果がない

ここまでわかれば、解決策は明らかです。製薬会社は膨大な資金を投入し、脳内でアミロイドβの塊の形成を防ぐ薬を開発し、塊を除去する薬の開発も行いました。

ところが、治療薬が効かず、さらに、自然寛解の見込みもないという衝撃的な事実が明らかになりました。つまり、罹患したら「治らない病気」だと諦めるしかなかったのです。

ヘルペスの既往歴と関係がある

ところが、近年、台湾で行われた研究が、この病気の原因として最も疑わしい”容疑者”を突き止めることに成功しました。

その研究では、ヘルペスウイルスの感染者が抗ヘルペス薬を服用しない場合、非感染者の2.5倍もアルツハイマー病になりやすいことがわかりました。

さらに、アルツハイマー病で亡くなった患者の脳組織にはヘルペスウイルスの痕跡が大量にあることも明らかになりました。

抗ヘルペス薬は、アルツハイマー病になるリスクも正常レベルに戻す効果があることから、アルツハイマーとヘルペスには深い関係があるとみられています。

歯周病は物忘れのリスクを高める

アルツハイマー病の発症と関係のある病原体はヘルペスウイルスだけではありません。それは、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P・ジンジバリス)です。

2番目の”容疑者”とも呼ばれ、通常、口中に棲んでいる細菌です。P・ジンジバリスもまた、アルツハイマー病で亡くなった患者の脳組織で見つかっています。

この細菌は「歯周炎」と呼ばれる、口の中の深刻な炎症を引き起こすといわれており、アルツハイマー病のリスクと深く関連があります。

60代の高齢者、8,000人を対象として歯科検診を行った研究では、歯周病になっている人は20年後に認知症になるリスクが高いことがわかりました。

日本を訪れる外国人は「道路にゴミが全く落ちていない」と、どこに行っても清潔であることに驚くといいます。しかし、キレイ好きな日本人は、口の中の掃除をしないことで有名です。

2014年度ライオンの最新調査によると、歯間部清掃を行っている人は欧米が50%を超えるのに対して、日本はわずか約19%と著しく低い結果です。こうしたメンテナンスの怠慢は、歯の残存本数に象徴されています。

70代の高齢者における平均残存本数は、スウェーデンでは20本ですが、日本人はなんと8本しかありません。これは、日本人が普段から歯のメンテナンスを怠っている証拠ともいえます。

「口は万病の元」という言葉があります。もし、”デンタルフロス1本”で、ぼけずに健康に暮らせるのであれば、アルツハイマーの治療費よりも安いことは確実です。さあ、今すぐに、歯を磨き、健康と向き合ってみませんか?

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