「24時間戦えますか?」現代では”ブラック扱い”されてしまいそうなフレーズが、平成のテレビCMで使われたことを覚えていますか?当時の流行語大賞にも選ばれ、日本人といえば、長時間労働、企業戦士という時代がありました。
しかし、2019年に施行された働き方改革関連法では、長時間労働を是正する流れになり、働き方そのものが見直されています。こうした動きは、海外でも進んでおり、実は日本よりも一歩先の取り組みが始まっています。
労働日数削減で生産性が向上した
2022年6月から6ヵ月間、イギリス国内の60以上の企業約3,000人の従業員が参加し、世界最大級の労働に関する実験が行われました。
この実験は、週4日労働制を採用しながら、従業員に対しては週5日労働制と同額の給与を支払うというものです。
その結果、企業の収益は実験期間中に平均して1.4%増加、平年同期と比べても平均35%増加し、労働時間が短縮したにもかかわらず、生産性が向上していることが明らかになりました。
今後も継続する企業が多い
従業員の健康と幸福度が全体的に改善され、心身の健康や運動時間、自身の生活と仕事への満足度が著しく向上したことも明らかになっています。
これによって、雇用が増加し、欠勤は減少、離職者も急減していることから、従業員の労働に対する意欲が向上したことにつながっているといいます。
また参加した企業のうち、週4日労働制を継続しない企業はわずか4%で、90%以上は週4日労働制を継続、今後導入すると回答し、この働き方がスタンダードになるとみられています。
環境保全にも貢献できる
週4日労働制のメリットは、人間だけのものではありません。イギリスの週4日勤務制推進団体によると、労働日数変更により、国内の炭素排出量を2025年までに年間1億2,700万トン(21.3%)削減できると試算しています。
週の労働日数削減は、エネルギーを大量に消費するオフィス機器の使用時間と自動車通勤が減り、省エネを実現できるとみられています。
ここ数年、日本では、働き方改革によって、ワークライフバランスの必要性が求められています。しかし、これに関する見直しは必ずしも企業にとってプラスになるとは限らないという見方があるといわれています。
日本が週4日労働制になるのは当面先か、もしかしたら実現せず、さらに欧米から遅れをとってしまう事態になるのかもしれません。
参考サイト:
Fifteen percent of employees who took part in the world's largest trial of the four-day workweek said no amount of money could sway them to go back to five-day weeks.
【6月2日 AFP】週4日勤務制への移行により、英国の温室効果ガスの年間排出量を4年間で4分の3に削減可能とする推進団体の報告書が5月27日、発表された。
テレワーク導入の効果と労務管理の課題「働き方改革」のいまを発信する情報サイト。
ワーク(仕事)とライフ(生活)のどちらも犠牲にすることなく充実した人生を送るという考え方である「ワークライフバランス」。働き方改革と相まって注目されている言葉ですが、その実現には大きなハードルがあるようです。ワークライフバランスを導入するにはどのような課題があり、どのようにクリアしていくべきか解説します。