人間の睡眠時間は短くなる。

「仕事のミスが多い」「何となく疲れている」そんな時は、睡眠を見直す必要があるといわれるのは定説です。

これには多くの研究で、仕事で最高のパフォーマンスを上げている人とそうでない人では「睡眠」に違いがあることが証明されていることが影響しているとみられています。

特に、睡眠の「質」が大事だといわれていますが、そもそも睡眠時間が確保できなければ元も子もないことも事実です。

成人は7時間寝れば良い

睡眠に関する研究は幅広く行われており、多くのデータが算出されていますが、年齢によってその睡眠時間が異なる点は共通しています。

幼少期から10歳までは8時間〜9時間、15歳で約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6時間30分、65歳で約6時間と、加齢とともに睡眠時間が少なくなるということが報告されています。

このように睡眠時間には個人差があるものの、成人の場合は平均して6時間〜7時間が理想であり、単に長ければ良いというわけではないとみられています。

人間の睡眠時間が減少している

睡眠時間は季節によって変化することも広く知られています。秋から冬にかけて日が短くなる時に睡眠時間は長くなり、春から夏にかけて短くなることからも日照時間と深く関わっていることがうかがえます。

こうした状況から「暑くて眠れない」というのは最近生じた問題ではありませんが、2010年時点で1人当たり平均44時間の睡眠が失われ、睡眠時間7時間に満たない夜が従来より年間11日増加していたことが明らかになりました。

気温1℃の上昇が睡眠を妨害する

この研究を行ったデンマーク・コペンハーゲン大学の研究者は、気候の変動によって、睡眠時間が失われつつあるとし、今後その状況が加速すると分析しています。これには、睡眠と体温調整が密接であることが関係しています。

人間の体温は通常は37℃前後で推移し、夜になると熱が深部から表面積の大きい手足へ分散され、熱を自然に低下することで、人間は眠くなるといいます。

仮に気候変動によって夜間の気温が1℃上昇した場合、体温調節が機能しなくなり、睡眠段階が妨害され、眠りにつきにくくなると推測されています。

研究によると、2099年までに1人あたり年間50時間〜58時間の睡眠時間が失われるとみられ、特に、温暖な地域に住む人は最も寒冷な地域に住む人よりも2倍以上の影響を受けるといいます。

気候変動はただの環境問題だと思う人が多くいるはずです。しかし、気温の上昇によって、全ての人に与えられた「1日24時間」という定義さえ変えられてしまうのかもしれません。

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