レンガは透明になる。

壁一面ガラス張りのオフィスやカフェなどの建物は、太陽光を取り入れつつ、スタイリッシュな外観を提供することから、おしゃれなスポットとして高い人気を誇っています。

しかし、素材がガラスであるため断熱性と耐久性の低さが欠点であり、また外からの視線が気になることが、長年課題としてあげられてきました。

ゲルでできたレンガを開発した

そんな中、スイス連邦材料試験研究所の研究チームは、ガラスの問題点を解決する半透明なエアロゲルレンガの開発に成功しました。

このエアロゲル・ガラスブリックは、ガラス板とシリカエアロゲルの層がサンドイッチのように重なっており、その内部では、合成樹脂の一種エポキシがスペーサーやシーリングとして使用されています。

この構造により、エアロゲル・ガラスブリックは、強度・断熱性・光透過性を兼ね備えることを可能にし、全く新しいレンガとして注目を集めています。

暖房代の節約もできる

またエアロゲル・ガラスブリックの圧縮強度は約45MPaであり、市場で入手可能な粘土で作られた断熱レンガよりも数倍高い圧縮強度を保っています。

これにより、壁一面をエアロゲル・ガラスブリックに置き換えても強度に問題はなく、太陽光で室内を照らしながら、暖房費の節約も可能です。さらに半透明であることから、プライバシーも保護されるといいます。

価格に課題がある

今後研究チームは、レンガの特性を生かすために、図書館、博物館、体育館など公共の施設への導入を進めていくとみられています。

しかし、従来のレンガと比較すると、かなり高価になるという問題もあり、市場に浸透するまでには相当な時間がかかるとの見方も示されています。

現在市場に出回っているレンガの技術は70年前からほとんど変わっていないことから、今回の開発はレンガ初のイノベーションともいわれています。

コスト要求が厳しい昨今、本格的な市場参入によって、大量生産が可能になれば低廉化も実現するかもしれません。

引用画像:
https://newatlas.com/materials/translucent-aerogel-bricks/

参考サイト: