2012年の夏季オリンピックが開催されたイギリス・ロンドンでは、水泳がスポーツの振興を図り、国民の健康向上を目指す計画の象徴とされています。
プールの利用者は週に約1万4千人いると推定されている中、その陰に悲しい現実があることが最近になって明らかになりました。
貧しいエリアのプール閉鎖が多い
イングランド水泳連盟によると、2010年以降イギリス国内では、約400箇所近いプールが閉鎖され、約10億ポンドの損失につながっていることが報告されました。
閉鎖された場所を分析すると、その多くが国内で最も貧しい地域であり、肥満や不健康な住民の割合が1番高いエリアだといいます。
財政難がきっかけになった
こうしたプールの閉鎖の背景には、自治体の財政難があるといわれ、予算削減のために赤字を垂れ流すプールが標的にされてきました。
維持費を削ったために施設の老朽化が進行し、そのために利用者も減少、プールの収入がさらに減少するという悪循環に陥っています。
他のスポーツにも影響している
特にコロナ禍以降、プールの閉鎖が加速していますが、とどめを刺したのは、ウクライナ情勢によるエネルギー価格の高騰だといいます。
同じ時期でみると、スカッシュコートが20%、屋内ボウル施設が13%減少し、水泳だけに限らないスポーツにまでその影響が広がっていることが実情です。
イギリスの国内総生産は今年2023年に0.6%縮小し、G7で唯一のマイナス成長が見通されており、今回問題になったプールの存続を左右するエネルギー面も引き続き厳しい状況が続くとみられています。
他にも山積するさまざまな課題を慎重に乗り越えようとする政府ですが、あまりに身勝手な政策によって、国民生活にこれ以上影響が出ないよう、適切な場所に迅速な支援が求められています。
引用画像:
https://www.theguardian.com/society/2023/mar/12/england-has-lost-almost-400-swimming-pools-since-2010
参考サイト:
Analysis shows parts of country with greatest health-related deprivation have lost out the most