若者が「クレーンゲーム」に大熱狂している。

ゲームセンターに行くと、必ずと言っていいほど設置されている「クレーンゲーム」。

お気に入りのキャラクターの人形やお菓子をクレーンを操作して取るものです。

もはやゲーセンの定番となって、全く珍しさを感じないものではありますが、今なんと、そのクレーンゲームが若者たちの間で熱狂的に流行っています。

「ラウンドワンスタジアム 堺駅前店」の1階フロアに、大きなぬいぐるみからお菓子、キャラクターのフィギュアまで、さまざまな景品を積んだマシンが377台も並んでいます。

(画像:Dick Thomas Johnson)

これがラウンドワンの新戦略「ギガクレーンゲームスタジアム」です。

何しろ1日ではとても遊び切れない台数です。大学生の若いグループ客が楽しげにフロアを物色しています。

どのマシンから狙うか、攻略法を練っているのでしょう。

クレーンゲームでトップレベルの売上

複合レジャー施設を展開するラウンドワン。コロナ禍では大苦戦を強いられました。

そんな中で浮かび上がったのが新業態のヒントです。埼玉県のある居抜き店舗で、400台のクレーンを投入した競合他社の店がありました。

その後、大手でも同様の店舗があり、ラウンドワンのトップレベルの店に匹敵する売り上げをたたき出していることもわかりました。

クレーンゲームに商機を見出せるのではないか。そう思った杉野社長は7月末、1万台超のクレーンの大量発注を決めます。

仮に失敗しても、既存店のマシンの入れ替えに充てられます。また、北米の店舗も日本からマシンを運んでいます。

大量発注しても無駄になることはない、そんな計算もありました。ギガクレーンを導入した店舗は期待通り、改装前と比べて売上高を40%ほど伸ばす効果をたたき出ししました。

ギガクレーンの集客効果でアミューズメント部門は大幅なプラスとなり、既存店全体ではコロナ前水準に戻りつつあります。

YouTubeには解説動画も

なぜ今クレーンゲームが人気なのかは、複数の要素があります。

ネットフリックスなどが浸透し、オンデマンドでアニメを見られる環境が整いました。

それぞれの作品にファンがつくと、メーカーもぬいぐるみなどグッズを制作するようになります。

景品となるグッズの数は大幅に広がっています。また、YouTubeではクレーンゲームの景品の取り方を解説する動画もあります。

マシンの景品を取りつくすチャレンジ動画も大人気です。中には再生数3000万回を超えるものまであるとのこと

さらにはメルカリなど、フリマアプリで景品を換金できる環境も整いました。

こうしたサイクルから、ラウンドワンはクレーンゲームの人気が拡大し、短期のブームではなく長続きすると読んでいるのです。

まだ、客足がコロナ前に完全に戻るのかといった懸念はあります。

しかし、ギガクレーンで回復を牽引できれば、客足が完全に戻らなくても、規模拡大と収益性を高められます。

大赤字の中で積極投資の勝負を懸けたラウンドワンでした。しかし!今期は本格復活の勝負どころとなりそうです。

(トップ画像:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:A_Claw_Crane_game_machine_containing_unicorn_plushes_in_Trouville,_France,_Sept_2011.jpg)


参考サイト: