10年以内に動物性革ジャンはなくなる。

「レザージャケット」といえば、今の季節に大活躍する定番アウターのひとつとして長年、多くの人に愛されています。

そんな革ジャンは、着用によるシワやキズや擦れで革の色味やツヤ感が変化するのが醍醐味ともいわれていますが、破れだけは修復ができない「劣化」として認識されて来ました。

しかし、もし破れた革のジャケットが勝手に修復するとしたらどうでしょう?そんな夢のような技術が今まさに実現しようとしています。

レザーに自己修復機能を持たせた

イギリスのニューカッスル大学、ノーザンブリア大学の研究チームは、菌糸から作ったレザーに自己修復機能を持つ、破れ目が勝手に塞がるレザーの開発に成功したことを発表しました。

従来の菌糸レザーは、菌類を完全に殺した状態で製造されていることから、自己修復機能は持っておらず、サステナビリティの観点においては「未熟」とされてきたことから、画期的だとみられています。

修復痕を消すことに課題がある

研究チームは、菌糸体は基本的に「休眠状態にある」ことに着目し、栄養素などの条件を整えることで復活し、再び菌糸を成長させることを発見しました。

そこで、菌糸を培養するための溶液を垂らし実験したところ、穴が空いた部分から菌糸が再生したといいます。

ただ、ダメージのない部分と同等の強度と質に再現することはできましたが、修復した形跡があることから、課題も残っています。

代替レザーは動物屠殺を減らす

菌糸レザーが産業に導入できた場合、皮革を得るための動物の屠殺を大幅に減らすことが実現し、また菌類は生分解性のバイオ素材であるため、環境にも優しいと考えられています。

この斬新なアプローチは、10年以内に商業化できる可能性もあり、菌糸レザー市場に参入しようとしている研究者やデザイナーに新しいインスピレーションを与えると期待されています。

かつてファッション業界は、短期間で大量生産して販売することで消費者に格安のトレンドファッションを提供できる仕組みを構築してきました。

しかし、SDGs、サステナブル、エシカルなど環境問題をはじめとする取り組みを優先的にしなければならない今、衣類の生産過程だけではなく、原料から見直すその取り組みこそ急務なのかもしれません。

引用画像:
https://nazology.net/archives/125523/2

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