イケアの商品名は「人間関係の悩み」である。

スーパー、コンビニ、どこに行ってもいろんな会社のいろんな種類の商品が、ぎっしりと並んでいます。私たちは、日々そんな大量の商品の中から自分の欲しいもの選ぶわけです。

特に大型店などは、陳列の仕方などでお客様を誘導したり、日々努力されていると思います。その時に、いつも感心させられるのは「商品名」です。

「お~いお茶」などに代表されるような、本当に引き込まれるような素敵な商品名があります。

インターネット空間が心の支えになっている

悩みがあるとき、「とりあえずネットで解決方法を調べてみよう」と思う人は多いのではないでしょうか。

内閣府が2019年度に行った「子供・若者の意識に関する調査」が実施されました。

「悩み事や困ったことがあるとき、それを解決、改善する方法について、どのように調べていますか」という内容の質問です。

それに対し、「インターネットで検索する」(58.5%)との回答が最も多かったといいます。(特集 子供・若者の意識と求める支援について)

また、「掲示板やSNSで解決方法を質問する、募集する」(15.0%)という回答も一定数あり、「インターネット空間が心の支えになっている」と感じている人が、それなりにいることが伺えます。

家具や日用品を扱うイケアは、人々のこういった行動の傾向を踏まえています。

「イケアの商品が、日々の悩みを解決したり改善したりする助けになることを知ってほしい」との想いから、「Retail Therapy(小売セラピー)」というウェブサイトを立ち上げました。

同サイトには、通常のオンラインストアと同じようにイケアの商品が掲載されていますが、その商品名が「グーグルでよく検索される人間関係の悩み」に変わっている点がポイントです。

たとえば、鏡台は「友人が自分の話ばかりする」、スポットライトは「皆が兄にばかり注目する」という商品名になっています。

消費者との情緒的なつながりや、穏やかなインターネット空間を

ユーザーがグーグルで悩みを検索すると、検索結果の広告のセクションに、その悩みと同じ名前が付いた、イケアの商品が表示される仕組みです。

「なぜイケアのサイトが?」と、思わず広告をクリックしたくなるのではないでしょうか。

イケアはこの取り組みを通して、「悩んで検索している人を、少しでも笑顔にしたい」と考えているようです。

そのため、商品と悩みの組み合わせ方には適度なユーモアがあるように考えられています。

たとえば、「子どもたちに物を分け合ってもらうには」という悩みには、ゆで卵を薄く切るエッグスライサー、「こんがらがった人間関係に対処するには」という悩みがあるとします。

それに対し、ケーブルなどをスッキリと収納できるケーブルボックスが表示されます。

私たちの悩みの深刻度はさまざまで、すべての解決策がネットに載っているわけではありません。

しかし、多くの人が利用する検索ツールを使って幸せな空気を作ろうとする、イケアの姿勢は素敵ではないでしょうか。

IKEA Retail Therapyからは、消費者との情緒的なつながりや、穏やかなインターネット空間の作り方などを学べそうです。

また、おそらく現場、店頭に行って、お客様と同じ目線で感じ取ることの重要性も改めて思い知らされます。本当に、“気づき“は大切です。



引用画像:
https://ideasforgood.jp/2022/04/01/ikea-retail-therapy/


参考サイト: