顔パスで乗り物に乗れるようになる。

電車やバスに乗る時、乗車を証明するものとして長らく使われてきた「切符」。日本での切符の起源は1872年の新橋〜横浜間の鉄道開通時の式典における入場券が日本初の切符だといわれています。

当時の日本には、切符の概念はもちろん、その製造ノウハウも存在しなかったため、印刷機械をはじめ、用紙、インク、改札で使用するハサミなど全てを鉄道発祥の国・イギリスから持ち込み、製造しました。

そこから150年余り経った今、切符はすでにマイナーとなり、スマホやクレジットカードが代替として使われていますが、この方法もまた変わりつつあるとみられています。

顔がチケットになる

千葉県佐倉市にあるユーカリが丘ニュータウンでは、新交通システム「山万ユーカリが丘線」とコミュニティバスの複数の交通サービスにおいて、顔パスで乗車できる実証実験が始まっています。

顔パスは、駅改札に設置されたポール型機械にチラッと顔を見せるだけで、通行者の本人確認を瞬時に行い、決済チケット管理システムに連携し、運賃の徴収を行う仕組みです。

現金のやり取りから、クレジットカードなど電子決済に進んだことはコロナ禍ならではの大きな変化としてあげられますが、顔パスという真の非接触技術の進歩は注目を集めています。

電光掲示板が人を認識する

アメリカでは、空港にある掲示板の前に立つだけで、利用者のフライト情報がわかるシステムの開発が進んでいます。

これはカリフォルニアに拠点を置くスタートアップ「Misapplied Sciences」と大手航空会社「デルタ航空」との提携で開発されたもので、SF的なテクノロジーによって、複数の乗客に対して個別情報を同時に表示できるといいます。

現在、100人の乗客を認識し、搭乗ゲートやフライト情報を提供し、従来のブローシャやスマホでの確認の必要がなくなっています。

導入のハードルが高い

こうした顔パスの導入は、非接触やペーパーレスなど効率面でのメリットがある一方、デメリットや今後の課題も多くあることが事実です。

例えば、目や鼻、口といった顔のパーツで本人を認証するため、顔が似ている人、特に双子の場合、本人だと認識できない可能性はゼロではないといいます。

マスクやメガネなどを着用していると本人でも判別を誤ってしまう問題も存在し、認証の精度を高めることがカギです。

また、顔情報を利用するため、情報管理の徹底が求められます。多くの人が不安を感じるプライバシーへの配慮や安全に管理するセキュリティを利用者にアピールし、信用を得ることが重要です。

こうした先進的な技術の開発が日々進んでいますが、日本では諸外国と比べ、キャッシュレスが約30%と大幅に遅れていることが事実です。

治安が良く、盗難のリスクが低いことから現金崇拝が高い反面、機械への信用は薄いことが原因だとみられています。

そんな中、顔認証となれば、機械に慎重な日本人にとってはハードルが上がり、導入はなかなか進まないとの見方もあります。

今こそ近未来を想像させる技術に対するアレルギーを払拭し、便利なものを取り入れるその勇気が私たち日本人に求められているのかもしれません。

引用画像:
https://www.businessinsider.com/delta-parallel-reality-board-detroit-displays-personalized-flight-information-2022-7

参考サイト: