ミツバチはいなくなる。

ミツバチはハチミツの生産に欠かせないだけでなく、草花や農作物の受粉を助け、自然界に大きな恩恵を与える生態系にとって必要不可欠な存在です。

ところが、このほどミツバチをめぐる研究調査で新たな発見があり、もしかしたら、私たち人間の未来にも影響が出る可能性が明らかになりました。

ミツバチの寿命が短くなった

メリーランド大学の研究によると、飼育手順が変わらないにもかかわらず、ミツバチの寿命が50年前と比べて50%も縮んでいることが明らかになりました。

同研究所が行った1970年代の調査では、ミツバチの平均寿命は34.3日でしたが、2010年代に入るとミツバチの平均寿命は、その約半分となる17.7日まで落ち込んでいます。

蜂を保護する法律ができた

こうした状況は世界各国で起きていることが報告されており、すでにミツバチの個体数減少を食い止める対策が始まっています。

イングランドのイースト・サセックス州ブライトンでは、5m以上の新築の建物に「蜂のためのブロック」を設置することを義務づける法律が制定されています。

この法律では「Bee Bricks」と呼ばれる複数の穴が施されたブロックの使用が必須で、蜂が穴に入り巣を作れるようにデザインされていることから、生物多様性の保全に貢献するとみられています。

蜂専用ワクチンが開発された

さらにアメリカ農務省は、バイオテクノロジー企業が開発したミツバチ用ワクチンを条件付きでライセンス交付したことを発表しています。

これはアメリカ腐蛆病を予防するワクチンで、多くのミツバチを救うことができ、養蜂家の負担を軽減するといわれています。

アメリカ腐蛆病はミツバチの子どもが発症する細菌感染症で、巣全体に感染する可能性が高いことから、家畜伝染病に指定されています。

一度腐蛆病にかかったミツバチは抗生物質を使用して治療するか、巣の焼却処分をするしか方法がなく、個体数の減少を黙って見過ごす状況だったといいます。

しかし、こうした状況を変えるワクチンを餌に混ぜて投与した場合、最大で50%免疫力が向上し、さらに腐蛆病に対して免疫を持つ幼虫も生まれ個体数の増加に期待されています。

幼少期に怖い思いをした人も多く、蜂を見かけると「怖くて堪らない」そんな認識が一般的で逃げ出す人も多いはずです。

しかし、ミツバチの寿命短縮は、人間の寿命すら縮めてしまうかもしれない事実を目の当たりにした今、共存社会を改めて実感し、蜂を増やす取り組みは急務なのかもしれません。

引用画像:
https://www.theguardian.com/environment/2022/jan/18/brighton-bee-bricks-initiative-may-do-more-harm-than-good-say-scientists

参考サイト: