サマータイムは撤廃される。

第二次世界大戦以降、アメリカでは時計の針を3月第2日曜日午前2時に1時間進める「サマータイム」を適用し、11月第1日曜日午後2時に1時間戻す、生活時間の調整が行われています。

そんな中2022年3月に、連邦議会上院で2023年以降、通年サマータイムを導入する法案が満票を獲得し、1日が23時間に固定されることがすぐそこまで迫っていました。

ところが下院で法案が否決されたことをきっかけに、かえってサマータイムの廃止を求める動きが加速し始めています。

標準時間は理にかなっている

恒久的なサマータイムの導入に反対する専門家は、標準時間の恒久化は理にかなっていることを主張しています。

2019年にアメリカで行われた研究では、同じタイムゾーンで両端に位置しており、日の出と日の入りの時間が異なる地域に住む人々の睡眠パターンを比較しました。

その結果、日照時間が1時間長くなると睡眠時間が平均19分も短くなり、夕方の日照時間が長くなると人々の睡眠が妨げられる可能性があることが明らかになりました。

欧州でも夏時間廃止の動きがある

こうしたサマータイムを廃止する動きは、制度があるヨーロッパでも始まっていますが、とある”危機”で止まっていることが事実です。

それは、新型コロナウイルスのパンデミックがあり、さらにこの1年はロシアによるウクライナ侵攻に注意を向けざるを得なかったことにあります。

夏時間は経済効果が高い側面もある

しかし、サマータイムの恒久化に経済的なメリットを示す研究結果も存在します。日照時間が1時間長くなると、アメリカでは年間12億ドル(約1,600億円)の節約につながる交通事故の減少が報告されていることが事実です。

また、アメリカ人は暗い時間帯に買い物に出かけることに抵抗を感じる人が多いことから、起きている間の日照時間が長くなることで、より多くのお金を使うようになることも期待されています。

JPモルガンは、サマータイムの始まりと終わりにおけるロサンゼルスの人々の支出と、時間を変更しないアリゾナ州フェニックスの人々の支出を比較した研究を行いました。

その結果、フェニックスと比べて時間が進んだ3月のロサンゼルスでは、1人あたりのクレジットカードの1日の支出が0.9%増加し、時間が戻った11月には3.5%も減少していることがわかっています。

元々、サマータイムは日照時間の有効活用という政策的な理由から取り入れられたといわれています。

しかし、健康被害を増幅させる制度であるならば好ましくないという意見があることは仕方がなく、むしろ時間を巡って国や世界を二分するような混乱が起きる前に、今こそ通常の24時間に戻すチャンスなのかもしれません。

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