いつの時代になっても、人類を魅了して止まない宇宙。「夢物語」として語られることの長かったその場所は、今では、次世代のビジネスを展開する市場として注目を浴び、民間人でも行くことができる場所へと変化しています。
実業家の前澤友作氏は、2021年、国際宇宙ステーションに日本の民間人で初めて滞在し、話題を集めました。その費用は12日間の滞在で約50億といわれており、非現実的な旅行であることは間違いありません。
しかし、昨今、宇宙旅行にかかる費用や、手軽さのハードルが下がり、世界一周、六大陸制覇に加えて、宇宙旅行も選択肢のひとつになりつつあります。
気球で宇宙の入り口に行く
2019年に設立されたSpace Perspective社はアメリカに本社を置く、宇宙観光ビジネスのスタートアップ企業です。
同社は、設立当初から、宇宙旅行に向けたビジネスを展開し、気球型宇宙船「Spaceship Neptune(スペースシップ・ネプチューン)」を提供しています。
NASAなどの研究機関によって、数十年に渡り使用されている技術によって推進される宇宙船「ネプチューン」は、再生可能な水素により推進します。
二酸化炭素の排出をせず、宇宙に移動する初めてのカーボンニュートラルな方法を採用し、時速12マイル(約19km)で2時間かけて上昇し、高度30km「宇宙の入り口」を2時間飛行するといいます。
その後は、再び2時間かけて降下し、船が待機する着水地点から、乗客と船体を乗せて岸に上陸する6時間の旅行です。
体重制限なし、訓練も必要ない
船内は、広々としたカプセルのラウンジが設けられており、8人の乗客とパイロットが快適に座れるように設計されています。機内では、食事が提供され、バーカウンターでカクテルを楽しむこともできます。
また、安定したWi-Fi信号が設置されており、遠く離れた場所にいる友人や家族といつでも繋がることができます。
この旅最大の特徴は、無重力にならないため、参加者の事前トレーニングは必要ありません。さらに、体重制限もなく、18歳以上であれば、誰でも参加することができます。
既に世界中で1,000名以上に販売されており、2024年後半から商用飛行が開始される予定です。また、日本でも旅行会社HISの子会社が販売を開始しています。
2025年〜2028年までの乗船で、現時点における申込金は、1人あたり25,000USドル(約320万円)、旅行代金は125,000USドル(約1600万円)です。
宇宙に行くよりも、費用面含め、体力面のハードルが下がったことにより、すでに申込みを済ませている人もいるといいます。
いずれ月に住めるようになる
近年、SpaceXを筆頭に民間企業から宇宙産業に参入し、実績を挙げる企業が続々と出てきており、多くの投資も集まっています。
現在の宇宙市場は37兆円規模といわれており、20年後には100兆円規模を超える超成長市場だといわれています。
その中でも「宇宙探索」は、これからどのように発展するのか未知数でありながらも、好奇心を刺激される分野です。
この分野こそ、宇宙産業を「夢がある」「ロマンだ」などと思われる大きな要因だと推察されますが「宇宙探索」も今度私たちの生活の当たり前になっていくのかもしれません。
直近では「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから目標値以上の粒子を持ち帰ることが話題になりました。
過去を振り返れば、1969年に人間が月面に着陸したことが宇宙開発に注目を集めるきっかけになったのかもしれません。
そして、人類初の月面着陸から50年経過した今進行しているのが、2024年に有人月面着陸を目指し、2028年までに月面基地の建設を開始するNASAのプロジェクト「アルテミス計画」です。
これから宇宙は地球から「眺める場所」ではなく「住む場所」への変化していくのかもしれません。「住む場所」になると、そこで生活する人も現れ、旅行する人も増え、ひとつの経済圏が形成されます。
2050年には月面に100人近くの人が住んでいるだろうとの予測もあり、出身地は「月面です」なんていう人が誕生するのもそう遠くない未来かもしれません。
引用画像:
https://spaceperspective.com/spaceship
参考サイト:
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