電子タバコは新しい病気を生んだ。

昭和の映画やドラマでは、仕事中でも喫煙するシーンがあるほど「タバコはカッコいい」が通用した時代で、ピーク時には約84%の日本人が喫煙していたといわれています。

しかし現代社会においては高齢化が加速し「元気で長生きしたい」「いつも健康でありたい」というように健康に気をつかう人も増え、喫煙率は20%まで減少しています。

このようにタバコが健康に及ぼすことに対しての関心が高まっている反面、まるで”中毒”のように吸い続ける人がいることも事実です。

そんな中、アメリカでは電子タバコの利用に関する原因不明の疾患を抱える患者が増加し、新たな社会問題が発生しています。

呼吸ができない患者が増加した

2020年2月18日、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、フレーバー付電子タバコ(VAPE)の使用によって、アメリカ29州とコロンビア特別自治区で68人の死亡を報告しています。

また患者の数は増加しており、呼吸困難、胸の痛み、息切れといった症状があり、通常の呼吸ができなくなる患者が多いとみられています。

大麻成分が中毒を引き起こす

2020年に報告された死亡数のうち、70%以上がTHCを吸引したことよる中毒死で、大半の人が電子タバコにTHC成分が含まれているものを使用していたことが明らかになっています。

THCとは、大麻に含まれる高揚気分のある成分のことで、日本では”キマる”といわれるほど中毒性が高く、過剰摂取によって幻覚作用、記憶力も低下し、最悪の場合、死に至ることもあるといわれています。

また、ウィスコンシン州とイリノイ州の保健当局が、電子タバコの使用で健康を害した86人に聴き取り調査を実施したところ、闇市場で出回っている違法な製品を使用していたことも明らかになりました。

250万人の中高生が喫煙している

アメリカの多くの州では、若い世代における喫煙が課題であることから、タバコの購入は18歳から、カリフォルニア州やそのほか複数の州では21歳以上と定められています。

しかし、2022年青少年調査によると、高校生の14.1%と中学生の3.3%が、過去30日間に少なくとも1回は電子タバコを吸っていることがわかっています。

その人数は約250万人にのぼり、そのうち、約85%がフレーバー付電子タバコを使用していることも明らかになっています。

モントリオールの大学が行ったマウスにフレーバー付電子タバコを吸引させた研究によると、肺の免疫系にダメージを与えることが示されていますが、若い世代には政府・自治体の取り組みの効力がないとみられています。

2000年代後半、電子タバコは葉巻タバコに含まれるニコチンをはじめとする何百もの発がん性物質から喫煙者を引き離すために開発されました。

しかし、電子タバコの台頭によって「THC」という新たな脅威をもたらし、合法化が加速しているとはいえ、広義における大麻の影響が大きいことは事実です。

健康のためにタバコをやめる人がいる一方、大麻を吸うためにタバコを利用する人が多いということは見過ごすことができない大きな問題なのかもしれません。

参考サイト: