これから報酬は食べ物になる。

シェア畑、棚田オーナー、コンポスト、農業マッチングサービス。ここ数年で、一次産業に関わるプロダクトやサービスが、特に目につくようになりました。

「コロナ禍で畑を始めた」などという話もよく聞きます。それは、“生産”から遠く離れてしまった人間の、本能的な危機感からくる行動なのでしょうか。

こうした流れを受けて、新しいサービスが本格稼働するようです。

当たり前の裏側を見る体験

NPO法人MOTTAI(もったい)は、「当たり前の裏側にアクセスしやすい社会を創る」をビジョンに、しています。

手伝いをしてほしい農家・猟師・漁師と手伝いたい人を繋げ、食べ物が生産される現場、つまり“裏側”に触れる体験を提供しています。

これまでには、食べる、を考えるきっかけとしての鶏解体研修や、狩猟体験「罠オーナー制度」。

廃棄になりそうな食材を持ち寄る料理会「モッタイNight」など、ユニークな食体験を提供してきました。

そしてコロナ禍をきっかけに、一箇所に大勢が集まるのではなく、1対1の繋がりを増やすための仕組みづくりをしたいと考えました。

そして「農家・猟師・漁師のお手伝いマッチングサービス」が生まれたのです。


ウェブサイト上で興味のある体験を選び、応募フォームから登録するだけで利用できるサービスです。

現在10人のホストが、お手伝いを募集しています。みかん農家やいちご農家での農作物の収穫から狩猟の罠設置まで、手伝いの種類はさまざまです。

“食料廃棄の問題を解決したい”という強い思いを解決するには、食べ物がどういうふうに作られているのかなど、一次産業の現場を知ることです。

その体験を通して人と人との繋がりができれば、当事者意識を持つ人を増やせるでしょう。

このサービスが新しいのは、手伝いをしてくれた人への報酬が「食べ物」であること。

金銭が発生しないことによって、手伝いを受ける側(ホスト)にとっても、手伝いをする側(ワーカー)にとってもハードルが低くなっているのです。

既存のマッチングサービスでは、参画できる一次産業従事者が限られていました。費用や人員の問題で、都心部の個人経営者は参画できません。

でも、都心部で彼らを手伝いたいという人はたくさんいます。

需要と供給が合っていない状況なのです。それなら、報酬を食べ物にしてしまえば、少しでも参画のハードルが下がるのではないかと考えたようです。

消費者が生産者に変わる

MOTTAIでは、位置情報を利用して一次生産者とマッチングできるアプリのローンチを予定しています。対象は首都圏。

今、消費者と生産者は分断されているので、お互いがお互いに思いを馳せられるような関係性が必要です。

コロナ禍による分断は、それまですでに存在していた分断をも再認識させてくれました。それらの分断を乗り越える一助になるのは、人と人とのゆるやかな繋がりにあるのではないでしょうか。



引用画像:https://www.mealkitmottai.com/

参考サイト: