魚の糞が野菜の栄養になる。

SDGs(持続可能な開発目標)では、水質汚染の防止やCO2の排出量削減が求められており、その一環として「循環型農業」は以前から取り組みが行われています。

このように農家は収益の確保だけでなく、将来にわたって農作物を安全かつ安定して供給する農業経営が求められている中、新しい形の循環型農業が誕生し、注目を集めています。

農業と養殖を同時に行う

神奈川県に本社を置く株式会社アクポニは、温室の水耕タワー「アクアポニックス」と呼ばれる生産システムで葉野菜やハーブの栽培を行っています。

アクアポニックスとは、植物と魚を同時に育てられる仕組みのことで、観賞魚などを育てるインテリアとしても知られていますが、同社では「農業」と「養殖」を専門として導入を始めています。

温室を小さな地球に見立てる

現状、人間が野菜や魚、家畜を育てるビジネスは、野菜は野菜、魚は魚と、それぞれ別々に行われていますが、環境負荷が高いことが課題にあげられます。

しかし、本来地球は同じ水を地球の中で循環させ、植物や魚、動物、ひいては人間も生きていることが事実です。

そこで、野菜を育てる装置の下部に水槽を設置し、餌を食べた魚の糞が混じった水をポンプが汲み上げ、上部の野菜培養地に注ぐ、温室内を「小さな地球」に見立てています。

糞をセラミックの土が栄養に変える

肥料として売られている牛糞や鶏糞は、藁などと混ぜて発酵・分解されているため、植物が吸収しやすい状態になっていますが、糞そのものの場合、野菜は栄養として吸収することができません。

そこで、糞を堆肥にする代わりに、敷き詰めているハイドロボールと呼ばれるセラミックの土に水を通すことで、糞が野菜の肥料として分解されるという仕組みを構築しています。

セラミックの土に住む微生物が、植物にとって毒になるアンモニアを窒素に分解することで、野菜の栄養に変化し、その結果、温室内の全ての生き物の共存を実現しています。

人口の減少と共に、農業の担い手不足から食糧不足が叫ばれる昨今、都市型農業や空き地の活用など狭い土地での野菜収穫の方法の模索が行われています。

日本に合った形で、食糧生産の手段としてはもちろん、地産地消の促進や循環を生み出すツールとして、この技術の活用は大いに期待できるのかもしれませせん。

引用画像:
https://sdgs.yahoo.co.jp/originals/150.html

参考サイト: