カラーレンズは運動能力を高める。

トップアスリートが試合前に自分のお気に入りの曲を聴き、集中力を高めたり、気分を上げたりしていることはよく知られています。

音楽を聴きながらランニングや筋力トレーニングを行う人が多いのも、ハードな運動でも継続しやすくなる効果を感じているからかもしれません。

そんな中、視覚を刺激する「色」によって、運動のパフォーマンスに変化がある可能性がわかり、研究が進んでいます。

スポーツには「勝ち色」がある

運動パフォーマンスと色の関係については、科学的根拠の有無よりも、感覚的にそういう傾向にあると信じられることが少なくありません。

例えばサッカーではゴールキーパーが赤いユニフォームを着ているとPKが決まりにくく、逆にPKを蹴る側が赤いユニフォームだと決まりやすいといった事例が発表されています。

またスピードスケートの世界では「青いウエアが速い」と信じられ、赤がトレードマークだったノルウェーの代表選手が青いウエアでワールドカップに出場し、ニュースになったこともあります。

色でバランスをとるメガネを開発した

そこで、兵庫県に本社を置く企業innochiは、心身のバランスを整える道具として「眼鏡」の可能性に着目し、個々人の目の得意・不得意をサポートするカラーレンズを使った独自の眼鏡「イノチグラス」が開発しました。

オーダーの際には、6色のカラーシートを見ながら片足で立ち、負荷をかけてどの色がバランスを取りやすいかや左右の視線のズレなども測定します。

不思議と個々人によって心地よく安定し、見えやすく感じるレンズの色は異なり、単純に好きな色というわけでもないうえ、左右で色味が異なる人も珍しくないといいます。

運動と色の関連性はわかっていない

もともと発達障害を抱える子どもたちの支援から生まれたイノチグラスは「読み書きが苦手な子どもがノートの枠に沿って文字が書けるようになった」「気が散らなくなった」といった声が寄せられています。

ただ、個々人で異なる色が脳にどう影響を与え、色の刺激によって運動パフォーマンスが向上する仕組みは解明されておらず、今後の課題だといいます。

この研究は2024年3月までinnochiを含め、東北大学、その他企業の4者共同で行われ、色と運動パフォーマンスの興味深い関係、何らかの科学的なエビデンスが見つかるのか、研究の行方に注目が集まります。

引用画像:
https://www.takashihaitani.com/blank
https://jitensha-hoken.jp/blog/2022/06/tohoku-university-physical-support-color-study/

参考サイト: