現在、地上での太陽光発電が普及しつつありますが、効率という意味では限界があるといわれています。
その理由として、太陽光を唯一のエネルギー源として発電するシステムのため、光がないところでは発電できなくなり、発電量は季節や天候によっても左右されることがあげられます。
もし、電気の供給の大部分を太陽光に頼った場合、天気の悪い日は電気が使えないという事態に陥ることも想定する必要があり、安定した電力の確保は大きな課題です。
宇宙では地上の8倍発電できる
そこで、現在、新たに開発が進められている電力供給法のひとつが、宇宙空間で効率良くソーラー発電を行い、得られた電力をマイクロ波の形で地上に届ける「マイクロ波発電」です。
この方法の発電効率は、地上と比較して最大8倍まで期待できるといわれています。さらに、雲を突き抜けた宇宙空間では、昼夜を問わず発電できるため、得られた電力はマイクロ波に変換して地球にワイヤレスで送電されます。
地上側では受信施設があれば電力を得られるため、送電網から切り離された遠隔地への送電手段としても利用できるといわれています。
発電パネルに折り紙の技法を採用した
アメリカ・カリフォルニア工科大学ではこの研究に長年取り組んできました。しかし、ロケットに搭載できるパネルには制限があり、巨大なパネルをそのまま搭載できず、発電パネルの小型化という大きな課題に直面したといいます。
そこで研究チームは、日本の「折り紙」からヒントを得て、コイル状に折り畳んだ状態から自動的に展開するパネルを開発しました。さらに、1㎡あたり150gというパネルの超軽量にも成功し、打ち上げ時の効率化を実現しました。
コスト面の解消で実用化に近づく
この太陽宇宙光発電は1960年代〜1970年代頃まで、アメリカを中心に研究が進められてきましたが、その後は研究開発が進んでいなかったことも事実です。
特にコストの面では、地上で提供されている電力と比較し、安価にならなければ、このプロジェクトの成功とはいえません。
現在、アメリカでは1kWhあたり平均0.17ドルが電力の相場ですが、現行、宇宙太陽光発電のコストは1kWhあたり1ドル〜2ドルと見積もりが出ています。
この状況を解消しなければ、宇宙に発電所を作る意味はなく、実用化まではもうしばらく時間がかかるとみられています。
現在、私たちが消費するエネルギーは地上で作り、地上で消費する、ある種の”地産地消”方式がとられています。
しかし、発電の場が宇宙に広がる可能性が見えた今、無限でクリーンなエネルギーの生産が安価で実現する日もすぐそこまで来ているのかもしれません。
引用画像
https://gadget.phileweb.com/post-18401/
参考サイト:
<宇宙で発電し、地上へ送電する。SF世界のようなプロジェクトのプロトタイプが打ち...
カリフォルニア工科大学のSpace Solar Powerプロジェクトが、最初の宇宙発電所プロトタイプを軌道に乗せる準備を進めており、打ち上げは2022年12月を予定している。このプロトタイプは超軽量構造で、太陽光のエネルギーを電力に変換し、それをワイヤレスで送出する機能を備える。
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