これからは「幸せ」が売れる。

高齢化が進む日本では「健康」をテーマにした商品開発が盛んです。

しかし、それだけでは新しい時代の変化にはついていけません。人生100年時代は、体の健康に加え「幸福」がビジネスのキーワードになります。

そんな中、昨今注目を集めている概念が「ウェルビーイング」です。

ビジネス最新キーワード

Well-being(ウェルビーイング)とは、満足した生活を送ることができている状態、幸福な状態、充実した状態などの多面的な幸せを表す言葉です。

瞬間的な幸せを表す英語「Happiness」とは異なり、「持続的な」幸せを意味するのがウェルビーイングなのです。

厚生労働省は、この言葉を「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」だとしています。

日本でもこの概念は広がり始めていて、2021年は日本におけるウェルビーイング元年と言われていました。

2022年5月に発表された組織改善サーベイ『ラフールサーベイ』の調査では、Z世代の回答者の約7割がウェルビーイングを貢献意識や働きがいに繋がるものだと認識しています。

転職先選びの条件にしていることが明らかになりました。

ウェルビーイングは人々の「生き方」や「価値観」が変わる世界的なムーブメント。せっかくなら、新商品開発やマーケティングに活かしたいですよね。

とはいえ、具体的にどうすればいいのか、まだ多くの企業が手探りです。

「痛み」が出ないようにする

単に健康になるための商品では、ウェルビーイングとは言えません。

ウェルビーイングの視点でとらえると、体や心が健康になることは、ウェルビーイングを実現するための大事な要素のひとつに過ぎないからです。

つまり「健康になるためではなく、健康を維持するための商品やサービス」を考えるということになります。

なぜかと言えば、健康がそこなわれた後では、自分の時間を自分らしく使うことが難しくなります。

痛みや不快感はもちろん、通院の手間や費用も、自分らしく生きることを阻害します。

必要なのは、「痛み」を取り除くのではなく、「痛み」が出ないようにすること。これがウェルビーイング的アプローチです。対症療法ではなく、予防でもなく、未病ケアです。

それではウェルビーイングの視点から商品開発をするとどうなるか。

例えば、ひざ痛のサプリメントは、65歳以上の今すでにひざが痛い人向けの商品です。

しかし、未病ケアをコンセプトにすると症状が出る前の、40~50歳くらいで、まだひざが痛くない人にまでターゲットを広げることができます。

痛みをやわらげる商品と痛みが生まれないように備えるための商品の市場規模を考えてみてください。

前者が10万人規模のビジネスだとしたら、おそらく後者はその何倍もの規模のビジネスになるでしょう。そこには新しい市場が生まれることになります。

「ポストSDGs」としてのウェルビーイング

日本におけるウェルビーイングの市場規模は2025年に12.5兆円に成長する見込みです。「ポストSDGs」としてウェルビーイングが注目されている今だからこそ、ビジネスに役立ててください。

もしかすると、既存の商品やサービスも、アプローチを変えるだけで新たなお客さまを開拓できるかもしれません。こうしたアプローチは「関係性のリデザイン」と呼ばれています。

世の中の人たちは幸せになりたいのですから、みなさんのビジネスも健康を売るビジネスから、幸せを売るビジネスにリデザインしてみてはいかがでしょうか。




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