飲食業界は、ここ数年、廃棄物を減らし、環境に配慮する方法を模索しています。特に2022年4月に施行された「プラスチック新法」により、プラスチック製ストローの問題に取り組む企業が多く存在するとみられています。
この背景には、海洋汚染をはじめ、マイクロプラスチックによる海洋生物への被害の深刻さが存在し、対応が急がれています。
すぐにふやける難点があった
すでに、プラスチック廃棄物を最小限に抑えるため、世界中多くの飲食店で紙ストローの導入が始まっています。
ところが、プラスチックのストローに慣れた人たちからは「すぐにふやける」「口触りが悪い」「使いにくい」といったネガティブな意見が多く寄せられています。
一般的に、紙ストローは水分を吸収しやすく、すぐに使えなくなるデメリットがあります。さらに、紙ストローといっても、紙コップ同様、ポリエチレンなど非生分解プラスチックのコーティングが施されてるものもあります。
つまり、地中での分解は可能であっても、マイクロプラスチックとして、海で蓄積する難点も指摘されているのです。
新しいコーティングのストローが開発された
そこで、韓国化学研究院(KRICT)に所属する研究チームは、今までのコーティングを改良し、生分解性100%の「ふやけない紙ストロー」を開発することに成功しました。
その材質は、生分解性をもつポリブチレンサクシネート(PBS)に、少量のセルロースナノクリスタル(CNC)を加えたものだといいます。
セルロースとは植物細胞壁の主成分であり、紙と同じ素材であることから、生分解性をもち、最終的には水と二酸化炭素に分解される特徴があります。
こうして生まれたコーティングは、従来品よりも紙に対して高い接着性を示し、均一なコーティングを実現しました。
耐久性も海洋分解性もクリアした
さらに、研究チームは開発したストローの耐久性も実験しました。その結果、冷たい飲み物や温かい飲み物、水や牛乳などを混ぜた飲み物に長時間浸した場合でも、ストローはふやけないことが明らかになりました。
さらに、深さ1.5m~2mの海水中に浸し続け、海洋生分解性を試すテストも行いました。従来の紙ストローは、総重量の5%しか減らなかったものの、開発したストローは、120日後には完全に分解されることがわかりました。
新素材の開発や可能性の研究とともに、今後も脱プラスチックに向けた新しい取り組みはさらに行われることが予想されます。
消費者としても、環境に配慮しながら、おいしく飲むことができるストローがあれば、こんなに嬉しいことはありません。サステナビリティへの意識が高まる今、引き続き注目していきたいですね。
引用画像:
https://nazology.net/archives/121379
参考サイト:
現在の紙ストローはすぐふやける、口当たりが悪い、実はあまり生分解性がないなどの問題を抱えています。韓国KRICTは水の染みにくい生分解性100%紙ストローを開発。水に1分間浸した後50gの重りを吊るしても曲がらないという
米国の一部の都市で、米マクドナルドがストロー不要のふたを試験導入していることが分かった。商品の包装をより環境に優しくすることを目的とした数年がかりの取り組みの一環だ。
「プラスチック新法(新プラ法)」に対応すべく、飲食業界の国内外のリーディング企業の多くが様々な取り組みを行っている。脱・プラスチックに向けた大手飲食チェーンのサステナブルな取り組みの実例や、新素材のストローについて紹介する。