風力発電の廃材からグミができる。

世界中で地球温暖化対策が喫緊の課題となっている現在、CO2を排出しない再生可能エネルギーの普及拡大が求められており、風の力を使って電気を作り出す「風力発電」は一際注目を集めています。

技術の進歩により、2000年頃から風力発電は飛躍的に発展し、発電面では環境問題に貢献していますが、耐用年数が過ぎた後のタービンの処分には課題が残っていることが事実です。

埋立処理するしか方法がない

一般的に風力タービンは、ガラスやレジン、カーボン、バルサ材、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートなどの複数の素材からできています。

そのため、廃棄する際は素材ごと分ける必要がありますが、分解するハードルが高く、リサイクルが非常に難しいことから現状だと、環境には良くない埋め立て処理するしか方法はないといいます。

スキー板に作り替える方法を提案した

そこでスウェーデン・ストックホルムに拠点を置く電力会社「Vattenfall」は「2030年までに全てのタービンをリサイクルする」という目標を掲げ、取り組みを始めています。

同社はオランダのリサイクル企業とタッグを組み、熱分解を利用した技術で特定の素材を取り出し、スキー板やスノーボードに作り替える計画を発表しています

専用の溶液につけるとグミができる

アメリカ化学会の研究は、使用済タービンから新たな複合樹脂を生み出せることを発見し、全く異なるものへの作り替えを提案しています。

例えば、タービンブレードから取り出した複合樹脂は、アルカリ性溶液に漬けることでアクリル樹脂を生成できるため、窓や車の部品に再利用できるといいます。

さらにその溶液の温度を変えれば、メタクリル酸が生み出されるため、オムツの原料に利用できるといいます。

そして、乳酸カリウムも副生されることから、食品にも応用ができ、キャンディーやスポーツドリンク、さらに近年若者に最人気のグミにも変えることもできるといいます。

かつて風力タービンの一部だった素材を食べることをすんなりと受け入れられる消費者がいるかどうかはわかりません。

しかし、究極のアップサイクルともいえる、食品への転換の可能性が見えた今、風力発電からできた食品が流通する日もそう遠くないのかもしれません。

引用画像:
https://renews.biz/75621/vestas-blades-take-to-the-slopes/

参考サイト: