絶滅動物が復活する日が近い。

絶滅動物と聞くと、氷河期における「恐竜」を思い浮かべる人が多いはずです。約1,000種に及ぶ恐竜の絶滅は、小惑星の衝突により、地球が寒冷化したことが大きな原因だといわれています。

そして、人類が地球で生活し始めてから現在まで約800種の動物が絶滅したと推測されています。確かに、数だけでみると恐竜より少ないものの、そのほとんどが人間による乱獲や農耕の影響で絶滅したことが大きな違いです。

どんな理由であっても、絶滅動物の姿を再び見ることは不可能に近く、絶滅種の再生は「SFの世界の話」と考えられていましたが、遺伝子工学の発展でその姿を甦らせるプロジェクトが立ち上がり、話題を集めています。

最終目標は野生に戻すこと

アメリカのベンチャー企業「コロッサル・バイオサイエンス」とオーストラリアのメルボルン大学はフクロオオカミを復活させる共同プロジェクトを立ち上げました。

オーストラリアの博物館に保存されている標本のDNAから抽出したゲノム配列を元に近縁のフクロネコ科の動物「フトオスミントプシス」の遺伝子を編集することで、人工的にフクロオオカミを復活させるという計画です。

さらに、モーリシャス島に生息していたドードーのプロジェクトも進行しており、飛べない鳥の復活も同時に進行しています。

いずれの最終目標も、生態系で絶対に不可欠な役割を果たした本来の生息地である「野生」に戻すこととし、いつの日か私たちの身近でその姿を見られることを目指しているといいます。

近縁種を生み出した方が得策になる

プロジェクトにおける「復活」とは、絶滅前の生物を完全に復元するわけではなく、近縁種のゲノムを遺伝子操作し、科学的に見た“最善の近縁種”を生み出すことを意味します。

この方法をとる理由は、絶滅動物のゲノム解析は完了しているものの、それだけでは本来の行動や生態を知ることができないため、類似した新種を生み出すほうが得策だと考えられていることが大きいとみられています。

倫理的に賛否が分かれている

国際自然保護連合の種の保存委員会は、代理種を「複製よりも良い選択」と定義する一方で、人工の新種を自然に放つとなると、倫理観的に賛否が割れることにも懸念を示しています。

いくら生態系のためとはいえ、人工動物が増殖し、人間の管理下に置かれた自然は、真の「自然」と呼べるのか、さらに実現した場合、現在の生態系が崩壊する可能性も指摘されていることも事実です。

このような絶滅した動物を復活させる研究について、まるで「ジュラシックパークの世界が現実になる」と、夢のような話として捉える人も多くいます。

しかし、元は人間の身勝手な行為によって絶滅に追いやった事実を直視し、現在も進む環境破壊によって、さらなる動物の絶滅を生まないよう、考える必要があるのではないでしょうか。

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