対話型AI「ChatGPT」や、画像生成AIなど、ここ最近におけるAIの進化は凄まじく、私たちの日常でも急激に普及しています。
最近だとAIを使って簡単な文章を作成できるなど、すでにその恩恵を受けている人も多い一方で、業種によっては仕事が奪われることを懸念する声があり、危機感が広がっています。
事務と弁護士の仕事はAIが担う
アメリカの投資銀行ザ・ゴールドマン・サックスは、人工知能(AI)によって今後10年間で3億人分のフルタイムの仕事が取って代わられる可能性があることを公表しました。
これは、アメリカとヨーロッパの仕事の4分の1にあたり、特に事務系と弁護士の仕事が奪われるリスクが高いとみられています。
AIの台頭は良い側面もある
「AIに仕事を奪われる」ことは確かに危機感を覚える必要もあり、デメリットのように感じられる一方で、メリットがあることも事実です。
約63%の労働者が、自分の仕事量の半分以下しか自動化されないことにより、仕事を続けながら、より生産的な活動に時間を割くことができるというプラスの効果を得られると推測されています。
また、肉体労働や屋外での仕事を行う約30%の労働者は「代替に弱い職種」であるものの、AIの影響はほとんど受けないと考えられていることから、人間のスキルの高さを誇示できるといいます。
世界GDPが上がる可能性もある
さらに、AI導入による労働コストの節減と職を失わない労働者の生産性向上という組み合わせは、世界の経済成長を大幅に押し上げる生産ブームにつながる可能性が高いことも指摘されています。
報告書によると、AIはアメリカの労働生産性を今後10年間に年間約1.5ポイント押し上げる可能性があるとみられ、2022年までの10年間に平均で年間1.3%しか向上していないことを考えると、目覚ましい伸びが期待されます。
また、世界全体で少なくとも半数の企業がAIテクノロジーを導入した場合、その後の10年間に世界の国内総生産は1年間で7%増加する可能性があり、その額は約7兆ドル(約920兆円)と試算されています。
人間は少しでも今の生活を便利にし、未来を良くしようと、向上心を持って常に新しい技術の開発に取り組んでいます。しかし、それによって人間への影響が懸念されると慌てふためき、過剰に反応することが事実です。
AIの開発が加速し、後戻りできない今、私たちが本当にしなければならないことは、このような技術革新にうまく適応し、後れを取らないように先回りする術を身につけることなのかもしれません。
参考サイト:
ベンチャーキャピタリストで、かつて存在した大手IT企業・Sun Microsystemsの共同設立者でもあるビノッド・コースラ氏が、シリコンバレーの経験豊かな業界人としての見地から、AIの展望やテクノロジーをめぐる西側諸国と中国の対立などについて語りました。