「おしっこ」が農家を救う

世界は農作物を守るために必死です。ウクライナ戦争とサプライチェーンの混乱により、合成肥料の価格が高騰していることは、ニュースなどで多くの人が知っていることでしょう。

高騰の影響により、農家の人たちからは、悲鳴が上がっています。

「肥料が入ってこない限りは農家はできない」」「経費が上がってきたら売価に反映しないと、誰も生産者は続けられなくなってしまう。」

販売価格に直結する生産コストの上昇は終わりが見えず、苦しい状況が続きます。

そんな高騰している農作物に必要な合成肥料ですが、代替肥料として、いま「おしっこ」に注目が集まっています。

尿にはリン、窒素、カリウムなど植物の成長に必要な栄養素が豊富に含まれています。私たちの排泄物に含まれる窒素の約80%、リンの約2/3が尿に含まれているというから驚きです。

バーモント州の農家を営むデイブさんは、化学肥料を人間の尿と交換する実験的プログラムに参加しています。

また別のプログラムに参加している農家の一人は、「ちょうど6週間ほど前に人間の尿を肥料にした新鮮な草を牛が食べています。

その栄養分を草の上に置くと、草は育ちます。草が増えます。草が増えれば、牛の数も増えます。

牛肉はより安くなります。より密接に結びつき、より循環しています。みんなが得をするのです。」と語ります。

尿の栄養素は役立つ

世界保健機関のガイドラインに従って、リッチアース研究所では地元の農場にトラックで出荷する前に低温殺菌しています。

この組織のプログラムはまだバーモント州の一角に留まっていますが、彼らはもっと大きな野望を持っています。会社のトイレのショールームでトイレや配管のシステムをテストしています。

このトイレは、尿と糞便を安全に分離する乾式コンポストトイレシステムです。尿は壁の前面から排出され、裏側に回り込みます。

「いつか、世界中の家庭や大きなビルに設置されることを望んでいる」と会社の人は語ります。

私たちが食べたものの栄養素はすべて体内の波に乗り、そのほとんどが尿として排出されます。

これらの栄養素は、ただ排水溝に流して無駄にするのではなく、農業に戻して新しい作物を育て、新しい食料を育てることができます。

宇宙でも「おしっこ」研究

さらに「尿」を活用した別の研究では、フロリダ大学の研究チームによると、人間の尿の結晶化バージョンは、「海草を活性化する可能性があります」と発表しています。

また、ドイツ航空宇宙センター(DLR)の研究チームは、人間の尿で野菜を育てる研究に数年前から取り組み、成果を上げています。

同チームは18年後半、ミニチュア版の「おしっこ温室」を使った栽培実験を地球の軌道上で実施するために、人工衛星を打ち上げています。

不毛の地であり月面では、あらゆる液体の1滴1滴が重要な意味をもちます。

このように近未来では、人のおしっこは大きな役割を果たすことになりそうです。

「おしっこ」の、わくわく感や期待は、かつてないほど高まっているのではないでしょうか。



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