日本社会全体が「挫折不足」のようです。安定した社会のお膳立てされた環境の中で行動して上手くいかなかった、程度のことは挫折とは言いません。
挫折とは、自分で目標を立て、そこに向けて必死に努力したけれども「世の中にまかり通る不条理な不運」、「自分の努力ではどうにもできない外圧」。
このような「外的要因」 に打ちのめされて、それを達成できなかった経験のことです。
つまり挫折とは「相当の努力」と「自分ではコントロールしえない外圧」、そして「未達成」の3つの要素がそろった逆境の経験です。
挫折は苦しいものですが、また新たなルールを作る機会でもあります。それが次の成功へとつながるかもしれないという意味において、挫折は失敗とは異なるものなのです。
たとえ解決しないことがあっても、一度その難題に向き合った経験は、いつしか思考の血肉となり、次のステージに押し上げてくれる力となります。
ですから挫折とは強い精神、折れないマインドを作るためのストレッチだと思ってほしいのです。
レジリエンスでしなやかに人生を変える
挫折後に一段と強いマインドができる理由は「レジリエンス」にあります。
レジリエンスは「再起力」を意味する用語で、心理学においては「逆境やトラブル、強いストレスに直面したときに、適応する精神力と心理的プロセス」と定義づけられています。
「立ち直る力」と言った方がわかりやすいかもしれません。
レジリエンスは、心理学では30年以上研究されてきました。研究の結果わかったのは、「レジリエンスの力は誰にでもある」ということです。
病気になっても自力で回復できるように、私たちの心の内面には立ち直る力、つまりレジリエンスの力が生まれた時から備わっているのです。
しなやかに立ち直る心は誰でも何歳からでも身につけることができます。レジリエンスに年令制限はないのです。
実際子どもからシニア世代までその能力を身につける事例が報告されています。そしてレジリエンスを身につけると働き方や生き方、つまり人生が大きく変化するのです。
不安で悩んでいる人でも、立ち直りを早くするために今日からできることがあります。
それは「自分の心には、しなやかに回復する力が備わっている」と自覚することです。
レジリエンスの力は誰にでも備わっています。その事実を理解することが、立ち直りを早くする大事な一歩なのです。
自分が勝てるフィールドで挑戦する
立ち直ったら次の挑戦に取りかかれます。
ある分野でうまくいかなかったからといって、他の分野でもだめだということはありません。
むしろ大切なのは、挫折の経験から、自分が勝てるフィールドを見つけ出すことです。自分が勝てるフィールドを見分ける嗅覚は重要です。
勝算がない挑戦は結果が出にくいこと、そこでは自分は輝けないということを自然と分かってきます。人生における挫折の経験は、こうした嗅覚を鍛えることにつながるのです。
挑戦し、挫折し、レジリエンスで立ち直り、再び挑戦……。このサイクルで人生の成功者になりましょう。
参考サイト:
今の青学の選手たち、ひいては日本社会全体が「挫折不足」であると私は考えています。そう言うと、「そんなことはない!」という声が選手たちから聞こえてきそうです。 たしかに、箱根駅伝で優勝を逃した、出走メン…
心理学の世界で長らく研究されてきた、「レジリエンス(resilience)」という概念。認定レジリエンス・マスタートレーナーの久世浩司さんに、私たちが知っておきたい、そのベーシックを聞きました。連載の第一回目です。