街路樹が街灯の代わりになる。

主に夜間の交通安全と円滑化のため、市街地や幹線道路に設置されている街灯。日本では江戸時代その設置が始まり、人々の安全を守ってきたといわれています。

今もなお私たちの生活になくてはならない存在ではあるものの、近年では、環境問題、エコの観点からその設置について議論されていることが事実です。

都市の光害が問題になっている

都市の照明が光害(ひかりがい)といわれ、照明の設置方法や配光が不適切で、景観や周辺環境への配慮が不十分なために起こるさまざまな影響が出るといわれ、問題視されています。

具体的にはエネルギーの無駄、居住者の安眠妨害やプライバシー妨害、動植物の住処が無くなったり成長の時期が変動したりなどの悪影響等があげられます。

特にドライバーにとって、眩しすぎる看板は、歩行者が見えにくく危険であり、人が困ったり環境に害が出るまでに、エネルギーを使って夜の街を照らす必要はないことも事実です。

生物の発光遺伝子を採用した

そんな中、フランス北東部アルザス地方に本社を置くスタートアップ「Woodlight」は街灯の代わりに発光する植物で夜の都市部を照らす研究を進めています。

同社は、自然界に存在する蛍やクラゲから着想を得て、生物が持つ発光の遺伝子を動物から植物に導入する方法を採用しています。

すでに光を発する最初の植物細胞を試験管実験での生成に成功し、2024年には試作品として発表するとみられています。

光量が足りない課題もある

このように街路樹が街灯の役目を果たすことが期待されていますが、生物発光から得られる光はほのかなものであり、暗がりで本を読めるような光量がないことが課題です。

そこで、第一弾目はライトの代わりの用途は求めず、光る目印を目指すとみられています。例えば、自転車レーンや車道の白線、たくさんの灯りが必要ではない場所の照明の実用化に向けて開発が進められています。

街灯をはじめとする灯りは、人々の生活を便利にしている反面、過剰な電力の使用や光害といった問題を起こしていることも事実です。

実用化には時間がかかりそうですが、電源プラグが一切必要ない、大きな節電効果のある植物で都市の公害を減らすという原点に立ち返る時に来ているのかもしれません。

引用画像:
https://woodlight.fr/

参考サイト: