刺さない蚊が生まれる。

暖かい季節を待ち望む人は多い一方で、気温の上昇と共に厄介なのが「蚊」の存在です。刺されたら痒くなるだけではなく、感染症を引き起こし、人々の命を奪う可能性もあります。

このような理由から、世界で最も危険な動物ともいわれている蚊ですが、ある技術を用いることで、人々の健康や食糧供給への脅威を減らす可能性が高まり、注目を集めています。

蚊は3000種類存在する

世界には3000種類もの蚊が存在しており、中でもアノフェレス、キュレックス、アエデスの3種は人間に致命的な感染症をもたらす媒介蚊として知られています。

近年では、外来種の蚊も問題になっており、特にアメリカではネッタイシマ蚊がデング熱、ジカ熱、黄熱病、チクングニアなど有害な病気を媒介し蔓延させているとして、早急な対応が求められています。

遺伝子操作した蚊で個体数を減らす

これに対処しようと、バイオテクノロジー企業「オキシテック」は、自社技術を駆使し、致死遺伝子を持つ「フレンドリー」と呼ばれるオスの蚊を誕生させることに成功しました。

このオスの蚊が野生のメスの蚊と交尾することで、その遺伝子が子孫に受け継がれ、子どもは成虫になるまで生き残ることができず、結果として個体数を減らすことができるといいます。

加えて、精密な遺伝子操作で生み出された蚊は「刺さない」性質を作り出すことから、病気の媒介を抑制することが可能です。

化学物質による害虫駆除を減らせる

さらに、同社は農作物を壊滅させる蚊をはじめとする害虫の被害が深刻なことから、世界規模で有害虫から農作物を守ることも目標にし、開発を進めています。

通常、害虫の駆除には化学物質を含む殺虫剤が使用され、その依存度の高さが問題になっていることが事実です。

しかし、遺伝子を組み換えた昆虫を放出することで、有害な殺虫剤を使用する必要がなく、土壌や花粉媒介者など生態系の健在性を維持しつつ、害虫による農作物被害を減らすことができるとみられています。

一般的に、遺伝子を組み替えることは不自然なものを作り出すという観点から、懸念の声が上がることもあります。

しかし、今回の開発は「フレンドリー」という名前の通り、全ての生態系に対して良い方向に向かっているといわれ、近い将来、本格的に重要な役割を果たすのかもしれません。

引用画像:
https://www.oxitec.com/en/public-health

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