年を重ねていけばいくほど、健康について考えさせられることは多くなってきます。
私たちに身近な死亡原因が“ガン”です。これらを事前に発見できたならどれだけ多くの人たちが、もっとバリバリ働いて長生きできたでしょうか。
ホリエモンが、予防医学なるものを推奨しているのは有名な話です。SNSなどのメディアで有名なのは、緑虫が「がん」を発見してくれるというものです。
それが今度は近い将来、がん検診をしてくれるのは「イナゴ」になるかもしれない。という話題です。
米ミシガン州立大学の研究チームはある、発見を報告しました。
それは、イナゴの脳と触覚を使って、ヒトの口腔がん(口の中にできる悪性腫瘍)を迅速かつ簡単に検知できる方法です。
がん細胞に対する「イナゴ脳の反応」を調べる
動物の中には、ヒトの病気を検知できる不思議な能力を持つものがいます。
代表的なのは「犬」で、彼らは飼い主の血糖値が下がり始めたり、がんや結核を発症したときに、それを察知できるのです。
このとき犬は、ヒトの体臭や呼気に含まれる病気特有の化学物質を嗅ぎ分けています。
他方で、これを検知できるように犬を訓練するのは、多大な時間とお金がかかってしまいます。
そこで研究チームは、犬のような嗅覚を持ちながら、訓練する必要のない「イナゴ」を活用することにしました。
しかし、イナゴを使った方法は、犬と違ってかなり残酷です。まず、外科手術により、イナゴの脳を生きた状態で露出させます。
次に、触覚が検知した化学物質への反応を受信できるよう、イナゴの脳に電極を刺し込みます。
その後、口腔がん患者から採取した3種類のがん細胞と、健康な口腔細胞を培養。それぞれの細胞が放つ揮発性物質を触覚に当てることで、脳の反応の違いを調べました。
すると、イナゴの生きた脳は、がん細胞と健康な細胞とで、まったく異なる反応を示したのです。
記録された電気活動のパターンは非常に明瞭で、ある種の細胞が放つ揮発性物質を触覚に当てるだけで、それが「がん細胞」か「健康な細胞」であるかを識別できました。
研究主任のデバジット・サハ氏は「昆虫の脳が、がん検出ツールとして検証されたのは今回が初めてであり、その上、高感度かつ信頼性が高く、検出速度も非常に速かった」と述べています。
新しい診断ツールに期待
ただし今のところ、明確な信号を得るには40個のニューロンからの記録が必要であり、それには6〜10匹のイナゴの脳が必要だとのことです。
サハ氏は、より性能の高い電極などを導入することで、1匹のイナゴだけでがん診断ができるようにしたいと考えています。
今後の研究で、イナゴの脳と触覚の詳しい働きが、今以上に解明できれば、これらのシステムを人工的に模倣した診断ツールが作れるかもしれません。
そうすれば、診断のたびごとに、イナゴの命を奪う必要もなくなります。これからの研究結果が、本当に楽しみです。
引用画像:
https://nazology.net/archives/111033
参考サイト:
米MSUはイナゴの触覚に細胞のニオイを嗅がせることで、ガンかどうか識別できたと発表。ガン細胞と健康な細胞では脳の反応がまったく違うという。未来のガン検診に応用できるかもしれません。