最近、「遺体を堆肥にする」という記事がありました。それがアメリカではさらに一歩進んだ議論が沸き起こっています。
2019 年ワシントン州でアメリカ初の「人間の遺体の堆肥化」が合法化しました。
続く、 2021 年にはコロラド州とオレゴン州が制定。バーモント州も2022 年 6 月に合法化されています。こうして死後に自分の体を堆肥にすることを許可する州の数が増えています。
堆肥葬はエコ
“堆肥葬”が広がりを見せている大きな理由は、火葬や土葬と比べて環境にやさしいことにあります。
火葬は1回につき約540ポンド(約245kg)の二酸化炭素を排出します。これは年間アメリカ全土で出る火葬の温室効果ガス約 360,000 トンに相当します。
また、土葬した場合、遺体の防腐処理に使用される化学物質が土壌に浸出し、環境汚染になる可能性があります。
ホルムアルデヒド、メタノール、エタノールなどの有害液体が毎年約 530 万ガロンも地中を汚染することになるのです。
その他、棺と埋葬用の金庫室に年間 3,000 万ボード フィートの木材と 200 万トン近くのコンクリート、鋼鉄、その他の材料が必要となります。
一方、遺体を堆肥にすれば環境への負荷を抑えられ、植物の成長も助けられます。捉えようによっては、これからの時代に適した埋葬方法といえるでしょう。
また、遺された側は「別れは悲しい。でも、これからは新たな命を育んでいくんだ」と捉えることで、悲しみが和らぐ可能性もある。
“堆肥葬”は、もしかしたら人にも地球にもやさしいのかもしれません。
人間の堆肥化法案を起草したカリフォルニア州議員のクリスティーナ・ガルシアは以下のように提言しています。
「山火事、極端な干ばつ、記録的な熱波は、気候変動が現実のものであり、メタンと二酸化炭素の排出を削減するためにできる限りのことをしなければならない。」
カトリック教会は猛反対
その一方で反対意見もあります。カリフォルニア・カトリック会議は法案に反対し、人間の堆肥化は「人間の体を単に使い捨ての商品に変える」と警鐘をならしています。
また、人間の堆肥化法案が提案されているニューヨークでも、ニューヨーク州カトリック会議が同様の反対を表明しています。
このプロセスは「基本的な人間の尊厳と尊敬を保護し、維持する」ことに失敗しているとあります。
つまりは誰もが愛する人を土に変えるという考えを好むわけではない、ということです。
対して日本はどうでしょうか。どちらかと言えばアメリカよりは受け入れられやすいように思われます。
アメリカで行われることはそのうち日本にも伝わるため、今後、埋葬の有り方に一石が投じられそうです。
参考サイト:
3年前、「人間の遺体の堆肥化」がワシントン州で合法になった。その後コロラド州やオレゴン州などに広まり、今度はカリフォルニア州でも認められるようになったらしい——。
By 2027, Golden State residents will have the choice to turn their bodies into nutrient-rich compost