「人生100年時代」という言葉が象徴するように、長期的な視点で考えると、人間の寿命は延び続けています。
ところが最長寿記録は1997年にフランス人女性、ジャンヌ・カルマン氏が122歳の記録を打ち立てて以来、25年以上も更新されていないことが事実です。
この停滞によって「人間の寿命の限界」は120歳前後だと認識されていますが、今後寿命の限界が伸びるかもしれないことが明らかになり、話題を呼んでいます。
年齢と死亡率には法則がある
アメリカ・ジョージア大学の研究チームは、年齢と死亡率の関係を表す法則「ゴンペルツの法則」を用いて先進国19ヵ国における研究を進めています。
分析では、出生の年代ごとにグループ分けを行い、死亡率や最長寿命がどのように推移しているのか、また現在の世代のグループがどう変化していくのか、その傾向を分析しました。
最長寿命が5年伸びる
その結果、全ての出生年代において死亡率圧縮の傾向が明らかになりました。中でも1910年~1950年に生まれた出生年代グループだけに「死亡率の延期」がみられ、最長寿命が5年伸びると推測されています。
このグループは2023年現在、73歳~113歳であるため、推測通り最長寿命を更新した場合、最長寿命を更新する可能性もあるとみられています。
公衆衛生の改善が寿命を伸ばした
また研究チームは、この年代グループで死亡率の延期がみられた理由について、第二次世界大戦後の医療の進歩や公衆衛生政策の改善が関係していると推測しています。
これらの要素は、当時、既にある程度の年齢に達していた人々の平均寿命の伸長を助け、それ以降に生まれてきた人々には、平均寿命を延ばすだけでなく、最長寿命を延ばすことに貢献した可能性があるとみられています。
「年齢なんてただの数字に過ぎない」という言葉を良く耳にしますが、長寿がスタンダードになった今、私たちは何歳になってもその時にやりたいことを見つけて、行動する、価値ある生き方を求められているのかもしれません。
参考サイト:
A key but unresolved issue in the study of human mortality at older ages is whether mortality is being compressed (which implies that we may be approaching a maximum limit to the length of life) or postponed (which would imply that we are not). We analyze historical and current population mortality data between ages 50 and 100 by birth cohort in 19 currently-industrialized countries, using a Bayesian technique to surmount cohort censoring caused by survival, to show that while the dominant historical pattern has been one of mortality compression, there have been occasional episodes of mortality postponement. The pattern of postponement and compression across different birth cohorts explain why longevity records have been slow to increase in recent years: we find that cohorts born between around 1900 and 1950 are experiencing historically unprecedented mortality postponement, but are still too young to break longevity records. As these cohorts attain advanced ages in coming decades, longevity records may therefore increase significantly. Our results confirm prior work suggesting that if there is a maximum limit to the human lifespan, we are not yet approaching it.