世界最高のレストラン「Noma」が閉店する。

世界のレストラン番付で首位を5度獲得。ミシュランガイドでは3つ星を獲得。

そんな「世界最高のレストラン」として不動の地位を築いてきたコペンハーゲンの「ノーマ(Noma)」が2024年に閉店することが発表されました。

レネ・レゼピがヘッドシェフを務める同店は、北欧料理を独創的にアレンジした料理が有名で、オープン以来、世界中の高級レストランに影響を与えてきました。

メニューは秋はジビエ、冬と春はシーフード、夏は野菜と、年3回入れ替わり、旬の食材に重点を置いています。

2021年には、誰もが憧れる「世界のベストレストラン50」でトップの座を確保するなど、今でも高い評価を得ているレストランです。そんなノーマ、なぜ閉店するのでしょうか。

持続「不可能」なレストラン

店の閉鎖理由の一つとして挙げているのが、高級レストランの経営に関わる不愉快な労働時間と過酷な労働条件です。

ノーマをはじめとするコペンハーゲンの一流レストランのスタッフに対する過酷な労働条件は、2022年年夏に新聞で暴露されていました。

レゼピは、「ノーマが築いたモデルは「持続不可能」になった。」「経済的にも感情的にも、そして雇用主としても人間としてもうまくいかない」とニューヨーク・タイムズに語っています。

ノーマの公式ウェブサイトの投稿には「2024年の冬が、私たちが知っているノーマの最後のシーズンとなるでしょう」と記されています。

ノーマ3.0の登場

とはいえ、世界最高のレストランとして長年君臨してきたノーマ。このまま閉店して終わってしまうのかというとそうではありません。

閉店後は「ノーマ3.0」と呼ばれる「巨大な実験室」に生まれ変わります。

店はホームページで「食のイノベーションに向けた作業、新たなフレーバーの開発を目的とする先駆的な実験キッチン」になると宣言。そこで得られた成果を広く共有したいとのことです。

「我々の目的は画期的な料理作りとともに、レストランチームの基礎を再定義する永続的な組織を作り出すことにある」

「学び、リスクを取り、成長できる場所」を目指すとしています。

ノーマ3.0の検討は飲食業界が新型コロナ禍で苦境にあった過去2年の間に進められました。

レゼペ氏は21年の受賞後に「この1年半、あるものを夢見ている。それを建設する予定だ」と述べて、事業の方向性の変化を示唆していました。

レストラン閉店後のレゼピの役割は、シェフというよりクリエイティブ最高責任者に近いものになります。

閉店後でも臨時的にゲストを迎え入れる機会は作る予定だとのことです。

世界最高のレストランと言われながらも、その座に甘んじることなく変化することを決めたノーマ。「ノーマ3.0」がどのように世の中に影響を与えるのか、非常に楽しみなところです。



引用画像:
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Noma_entrance.jpg


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