廃棄食品からプロテインができる。

食品廃棄の問題は、今や世界中の先進国で大きな問題になっています。農林水産省によると、2021年度の国内の食品ロスの量はおよそ522万トンにのぼり、世界中で飢餓に苦しむ人向けた食糧支援量の1.2倍に相当します。

そんな中、深刻な食品廃棄物の問題を逆手にとって、人々の健康を手助けする栄養食品を製造する会社が登場し、話題になっています。

健康に配慮した商品を開発している

イギリスの企業Nutrapharmaは、廃棄物になる運命の野菜や果物から、タンパク質が豊富な新たなサプリメントのためのプロテインパウダーを作り出す研究開発を行っています。

パウダーに使用する食品廃棄物は、協働しているスコットランドの農家の余剰生産品で、従来のホエイプロテインパウダーよりも多くタンパク質が含まれているものもあるといいます。

さらに、一般的なプロテインパウダーのほとんどに添加されている人工甘味料や香料などが含まれておらず、従来の製品以上に人体の健康へ配慮していることも大きな特徴です。

EUでは食品の半分が廃棄されている

この製品が生まれた背景には、ヨーロッパにおける深刻な食品廃棄物問題があるとみられています。

EU委員会の共同研究センターが2018年に発表したレポートによると、EU内の農家は年間9億5,600万tの食品を生産していますが、そのうち54%しか食品に使われていないことが報告されています。

植物性タンパク質の需要が高い

また、野菜中心の食生活を取り入れている人口は世界的に増加傾向にあることも開発を後押ししたとみられています。

人々は自身の健康を保つことにも意識が高いといわれ、とりわけ、新型コロナウイルスによって健康がさらに重要視される昨今、サプリメント業界でも植物性タンパク質食品の需要は年々高まっていることが事実です。

廃棄食品が出る原因のひとつに、形が悪く、出荷不適当と判断された不条理な基準や、必要以上に生産したり、買い過ぎるといった問題が背景にあるといわれています。

廃棄されるものを栄養とする取り組みのアイデアは素晴らしいことは事実ですが、そもそもの供給過剰、無駄な購入という消費者の行動を見直すべきなのかもしれません。

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