滑らかな口溶けや、さまざまな味を楽しむことができる「チョコレート」は、嫌いな人はいないといわれる食べ物のひとつとして、多くの人に親しまれています。
しかし、チョコレートの生産の背景には、厳しい現実があり、こうした問題を解決するべく動き出している企業があります。
生産の背景に児童労働問題がある
コートジボワールとガーナは、世界のカカオ生産の約75%を占めていますが、栽培地の一部では、100万人を超える子どもたちが、劣悪な環境で労働させられていることが実態です。
農場によっては、10歳ほどの小さなうちから、実に14時間にわたる労働を強いられるケースもあり、児童労働問題が深刻化しています。
また、同生産地では、カカオ栽培によって破壊されている熱帯雨林の85%を破壊しているといい、豊かな生態系のゆりかごを人間の都合で犠牲にしているといいます。
カカオフリーのチョコレートができた
そんな中、イギリスに本社を置くベンチャー企業「WNWN Food Labs」は、カカオ栽培に潜む「児童労働」「環境破壊」の問題を解消するべく、世界で初めてカカオを使わない「カカオフリーチョコレート」の開発を進めています。
同社は研究を重ね、イギリス産大麦とイタリア産キャロブ(イナゴ豆の一種)を原料にすることで、カカオの味に最も近づけることに成功しました。
さらに、その他の材料もオーガニックや植物性のものを使用し、カフェインフリー、グルテンフリーの特徴があることから、ヴィーガンの人はもちろん、ペットにも安心して与えることが可能です。
今後他の食品でも改革を進める
同社が掲げているカカオフリーチョコレートの販売の最終目的は、今回の商品販売を成功に導く事だけではないといいます。
気候変動、生物多様性の損失、悪質な労働環境の問題と密接な関係にあるチョコレート供給市場を、エシカルで、持続可能な形態に改革していくと同時に、コーヒー豆、紅茶、バニラでも改革を進める方針を明らかにしています。
私たちが手軽に購入し、至福の時を楽しむそのチョコレートは、もしかしたら、過酷な環境で労働を強いられた子供たちの犠牲によって作られているのかもしれません。
あなたが今、口にしようとするその食品には手元に届くまで、どんなストーリーがあるのでしょうか。一度その手を休めて、考えてみてはいかがでしょうか。
引用画像:
https://www.greenqueen.com.hk/wnwn-raises-a-5-6-million-series-a/
参考サイト:
Having secured $5.6m in investment, cocoa-free chocolate alternative brand WNWN is preparing to enter the UK and EU retail markets.
Cocoa-free chocolate bars are coming to the market, thanks to a startup called WNWN.
チョコレートといえば、カカオ。ですが、イギリスで誕生したのはカカオフリーのチョコレートです。開発元のWNWN社はなぜカカオを使わないことにしたのでしょうか?