充電して何度も繰り返し使える蓄電池。身近なところでは、スマートフォンやノートパソコンのモバイルバッテリー、自動車に搭載されているのもその一種です。
このように蓄電池はさまざまな用途に利用できることから、利用範囲が広がり、また国や自治体がエネルギー対策として導入を推進していることから、家庭用蓄電池の普及率が高まっています。
しかし、導入にはいくつかのハードルがあることから、思ったほど普及が進んでいない側面もあります。
蓄電池は導入のハードルが高い
蓄電池導入を導入するにあたって、十分な蓄電容量を備えたタイプの場合、設置・工事費用が100万円を超えることが一般的で、コストの高さが障害になっているといわれています。
さらに、家庭用蓄電池は低価格のモデルのほとんどは蓄電容量が少なく、いざという時に「電気が足りない」という問題も発生します。
材料のレンガで低廉化を実現した
そこで、アメリカ・ワシントン大学の研究グループは、赤レンガを蓄電池にして電気を灯す方法を開発しました。
研究では、ホーム用品店で購入した65セントの赤レンガやリサイクルされたものを使用し、材料の低廉化を実現しました。
そして、レンガに導電性のポリマー塗料を塗布し、レンガに含まれる酸化鉄やサビが化学反応を起こすことで、LEDライトを点灯させることに成功しました。
太陽電池と接続して機能する
現在、実用化に向けて、レンガを太陽電池に接続する方法を採用し、研究が進んでいますが、太陽光パネルは太陽光を利用して発電する機能には優れているものの、蓄電機能が備えられていないデメリットがあります。
しかし、導電性のポリマーは、多孔質のレンガ内部に入りこむことができるため、電気を蓄えられるイオンスポンジのような役割を担うことができるといいます。
そこで、パネルで発電した電力をレンガに貯めることで、電気が使用できるようになることが想定されています。
研究グループによると、1時間以内に数十万回の充電ができる上、50個のレンガで、非常用照明に5時間電力を供給するというエネルギー効率性の高さが特徴だといいます。
レンガは、古くから建築材料として世界中で広く使われ、身近に存在する建物など、さまざまな場所で目にします。
今後、レンガが蓄電池として実用化が進めば、災害など緊急時の電力源となり、多くの人々を助けることでできるかもしれません。
引用画像:
https://source.wustl.edu/2020/08/storing-energy-in-red-bricks/
参考サイト:
東京駅や北海道庁旧本庁舎、世界文化遺産である富岡製糸場。これらに共通するものは赤レンガだ。
災害が起きて電力の供給が止まってしまったら、スマートフォンを使って家族と連絡を取ることや被害情報を入手することが難しくなってしまいます。そんな非常時に重宝されるが「蓄電できるアイテム」ですが、最近では身近にあるレンガを蓄電装置として利用する研究が行われています。
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