動物実験は廃止される。

昔から人間と動物は同じ地球上で共存してきました。犬や猫などの愛玩動物は、私たちの生活に潤いや安らぎを与え、今では家族の一員となるほど重要な存在になっています。

また、牛や豚、鶏は「家畜」として人間の食用のために飼育されており、有り難い存在であることにも違いありません。

このように人と動物が共存している中、人間はこれまでに、おびただしい数の動物たちに苦痛を強いてきたことも事実です。その最たる例は薬品の「動物実験」ですが、近年、動物保護の拡大に向け、動きが加速しています。

アメリカでは義務を撤廃した

1938年から続いた「米国連邦食品医薬品化粧品法」では、新薬を人間での臨床試験に用いる前に、第1段階はラットなどのげっ歯類、第2段階はイヌやサルなどその他の動物での2段階動物実験を行うことが義務付けられていました。

ところが、2022年末にバイデン大統領が署名した「FDA近代化法2.0」では、これらのプロセスを撤廃し、代替試験の選択を可能にすることが明記され、事実上、薬品認可に伴う動物実験の義務の撤廃が決定しました。

マイクロチップの代替案が示された

そんな中、ハーバード大学ワイス研究所は、人間の生きた細胞の組織構造を真似て、理論上全ての臓器の機能を再現することができるマイクロチップ型の人工臓器を開発しました。

動物実験では、より詳しい内臓や組織の反応をみることができる反面、人間と異なる反応が出ることがあるといいます。

しかし、このチップを使用すれば、人間の臓器の動きと同じ環境下でのテストが可能で、医薬品のテストや、成分の特定が素早くでき、製造コストが飛躍的に下がるとみられています。

動物実験以外は普及していない

非人道的かつ非科学的な側面を解決する画期的な方法として期待されていたマイクロチップの代替法ですが、現状はあまり普及していないことも事実です。

こうした状況を打開するべくFDAは、新たな最適解を模索する開発を推奨し、業界と連携して動物実験以外の方法の普及に尽力する姿勢を示しています。

アメリカの動向を起点として、最先端の技術力を活かし、動物の命を犠牲にしない代替方法の開発と動物実験を求めない社会作りが求められていることは事実です。

しかし、マイクロチップ型の代替法が普及していない現実を直視する必要があり、一部の実験においては、人間と動物の共存のために仕方のないという声もあり、解決には時間がかかるのかもしれません。

引用画像:
https://www.designboom.com/design/design-of-the-year-2015-design-museum-human-organs-on-chips-donald-ingber-dan-dongeun-huh-06-23-2015/

参考サイト: