人は死ぬと、木に生まれ変わる。

「人は生きている限り、必ず死ぬ」あなたは、自分の死後について考えたことはありますか?日本は、高齢化が進み多くの人が亡くなる「多死社会」であり、都市部の墓地不足をはじめ、無縁仏、墓じまいなど課題が山積しています。

こうした「墓問題」は日本のみならず世界でも話題になっていますが、昨今、死体そのものの扱い方を見直すことで、墓の概念を変える動きが起こりつつあります。

実は死体の埋葬には課題がある

西洋では人が亡くなると2つの方法で埋葬することが一般的です。1つ目は、遺体の防腐処理を行い、棺に納め、購入した墓地で儀式を執り行い埋葬する伝統的な方法です。

もう1つは、火葬した後に遺骨を埋めたり、散骨したり、骨壷や墓に納めるというものです。こうした従来の方法は、高価なことで知られており、また長期的に環境への影響があるといわれています。

新しい樹木葬が提唱された

そこで、ニューヨーク・ブルックリンに本拠を置くTranscend(トランセンド)は、墓地を森として再生する樹木葬サービスを今春から開始することを発表しました。

同社が提案するのは、それぞれの州が定める法律や規制の範囲内で行える埋葬方法で、遺体を分解して土壌に戻すというカーボンネガティブな考え方です。

その方法は、遺体を自然分解される亜麻布で覆い、土中の酵素濃度を保つウッドチップの上に安置、その上に生前選んでおいた若木を植え埋葬する、とてもシンプルなものです。

理論としては、木が新鮮な土壌に根を張り、土の栄養素と分解されていく遺体によって成長していく、新しい樹木葬のカタチです。

気候変動への影響を相殺できる

同社によると、新しい樹木葬は火葬するよりも576%持続可能な方法になり、死者のCO2排出量を100%削減できるといいます。さらに、樹木葬1件につき、1,000本の木を植樹し、森林再生にも寄与することを明らかにしています。

もし世界の7人に1人がこの方法での埋葬を選んだ場合、1兆2,000億本の木を世界中に植えることができると推測されています。

この数は、科学者が気候変動の最も有害な影響を相殺できるとしている数に等しく、環境問題の改善にも貢献できると期待されています。

ライフスタイルや価値観の多様化によって、墓のあり方が変化していることは事実です。死体の埋葬方法を見直し、再生可能な森を墓地にすることで、より自然で尊厳のある「弔い」のカタチを実現できるのかもしれません。

引用画像:
https://www.wetranscend.com/

参考サイト: