地球温暖化はホームランを量産させる。

外野フェンスを越える「ホームラン」は、一気に大量得点が見込める「野球最大の見せ場」であり、その瞬間は観客が最も盛り上がる瞬間でもあります。

一発逆転の可能性を秘めたホームランは、本来「貴重なもの」でしたが、近年、MLBではホームランの数が劇的に増加し、その理由を探るべく研究が進められています。

60年で本塁打は1.2倍に増加した

アメリカ・ダートマス大学などの研究チームによると、約60年でホームラン平均数が0.8本から1.2本にまで増加していることが明らかになりました。

ホームランの増加の背景には、選手や監督・トレーナーが、科学的な根拠に基づいてトレーニングや食事、睡眠を改善しており、ホームランを打ちやすい体と技術の構築が大きな役割を果たしているといわれています。

気温が高いと打球が飛びやすい

そんな中研究チームは、それ以外の要因に注目し、気候やスタジアムの環境要因を考慮しながら、過去数年のMLBの10万以上の試合と、22万の打球を分析しました。

その結果、気温が1℃上昇するごとにホームランが打たれる可能性が約1%増加し、また平均的な試合と比較すると、気温が10℃高い場合、ホームランが20%近く増加していることがわかりました。

この条件を2010年以降の500本以上のホームランに当てはめた場合、約1%が地球温暖化によって発生したと計算され、2019年の最多記録6776本のうち68本が地球温暖化に関係していていると推測されます。

地球温暖化による本塁打は今後増える

今回の研究では、導き出された条件をもとに、今後地球温暖化が進んだ場合のホームラン数の変動も計算されています。

それによると、最悪のペースで地球温暖化が進んだ場合、地球温暖化の影響で打たれるホームランが、2050年までに年間192本、2100年までに年間467本発生すると予測されています。

ホームランは観客を興奮させ、試合を盛り上げるものに違いありません。しかし、ホームランの過剰な増加は、野球の単純化・面白さの低減に繋がる懸念もあります。

地球温暖化は世界中の人々が抱える問題ですが「野球に命を懸ける熱狂的なファン」にとっては、より深刻な問題なのかもしれません。

引用画像:
https://theconversation.com/mlb-home-run-counts-are-rising-and-global-warming-is-playing-a-role-203226

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