ロボットによる授業の代理出席が認められる。

文部科学省の統計によると、病気やけがが理由で1年間に30日以上欠席する小中学生は約6万人、高校生は約2万人に上るといわれ、大きな社会問題として認識されています。

このような状況下の子どもたちは、学校に行けないことで学習が遅れてしまったり、クラスの子たちと馴染めなくなってしまったりと、葛藤や不安を抱えていることが事実です。

そんな中フランスでは、このように学校を長期欠席する生徒の教育支援のため、遠隔ロボットでインタラクティブに授業に参加できるプログラムの実証実験が進み、世界の教育現場から話題を集めています。

ロボットが授業に出席する

フランス教育省が主導して行っているこのプログラムは、病気やけがなどの理由で1ヵ月以上にわたり学校を欠席する児童が対象で、該当する小学生、中学生、高校生向けに3種類のロボットを無償提供する取り組みです。

生徒は、支給された機器を使って、家や病院からリアルタイムで授業に参加し、グループワークに参加したり、クラスメートとインタラクティブに会話したりすることも可能です。

公的機関が全面的に支援している

同プログラムでは必要な教師向けの技術的なトレーニングや授業構成は公的機関による全面的なサポート体制を強化しています。

ロボットの技術的な説明をはじめ、遠隔にいる生徒がクラスに参加しやすいよう協力を仰ぎ、グループワークをする際、生徒同士がドキュメントや写真を共有できるような円滑なデジタル空間の整備を行っています。

教師の負担が大きいことが課題にある

2020年から全国数ヵ所の学校で試験導入を開始し、これまでに合計約4,000台のロボットが配備されているといいます。

また、2022年にロシア・ウクライナ戦争で学校に行かれないウクライナの児童にこのプログラムのロボットを配備し、平等に教育を受ける機会を世界に広めようとしています。

ところが負担が多い教師にとってさらなる負担になる点や、ロボットの電池寿命が短い点、メンテナンスの手間や人材不足などが指摘され、改善策の模索が続いていることが事実です。

日本政府は、現在「ICTを活用した障害のある児童生徒等に対する指導の充実」を目指した施策を進めており、主に勉強の遅れを補うことに注力しているともいわれています。

しかし今後も疫病や、自然災害など、病気やけが以外でも児童の就学が難しい事態が発生する可能性がある中、フランスのように生徒の気持ちに寄り添った施策に着目すれば、より優しい世界に近づくのかもしれません。

引用画像:
https://www.education.gouv.fr/ted-i-des-robots-de-tele-presence-destines-aux-eleves-hospitalises-326458

参考サイト: