北極圏に位置する、世界最大の島「グリーンランド」。
全島の80%以上が氷床と晩年行きに覆われ、氷の厚さは3000m以上に達するところもあります。
そんなグリーンランドや南極は、地球温暖化の影響で予想よりも速い速度で氷床の誘拐が進んでいて、世界中に影響を及ぼしています。
仮に世界がパリ協定で設定された目標を達成したとしても、2150年には東京周辺の海面は77センチ上昇し、このまま何も対策を取らなければ147センチ上昇するとのことです。
そんなグリーンランド、さぞかし地元でも水害の懸念が強まっているだろうと思われるかもしれません。
しかし実はグリーンランドの人々はそんな地球温暖化の恩恵を受けています。一体どんな恩恵を受けているのでしょうか。
地球温暖化で恩恵を受ける漁業と鉱業
まず最初に挙げられるのが漁業です。漁師たちは主に二つの方法で魚を獲ってきました。
一つは犬ぞりで氷上を移動し、氷に穴をあけて糸を垂らして釣る方法。もう一つは小型漁船を使う方法です。
しかし温暖化で季節によっては氷が薄くなっているため犬ぞりを使える期間は短くなり、代わりに船を使う期間が増えています。
さらに、海面の上昇によってアイスフィヨルドに船が入りやすくなったため。大きな魚がいる場所に漁師が行きやすくなりました。
他にも温暖化がプラスに働きそうな分野は鉱業です。海上の氷が減ってくれば北極海航路によるアジア方面への輸出拡大も当然、視野に入ります。
グリーンランドはNATO(北大西洋条約機構)創立メンバーでもあるデンマークの自治領です。
ロシア、あるいは中国といった、欧米とは違う価値観を持つ資源大国への依存から脱却するという意味でも、グリーンランドの資源への注目度は上がっています。
このように、漁業にせよ、資源開発にせよ、グリーンランドは様々なレベルで「温暖化の恩恵」を受けている面があるのです。
温暖化の恩恵は責められない
もちろん世界には氷が溶けることで水没する町もあります。そのような町からしたら、地球温暖化で恩恵を受けていると聞いたらはらわたが煮えくり返る思いをすることでしょう。
しかしこの「世界最大の島」に住んでいる6万人足らずの人たちが排出してきた温室効果ガスの量などたかが知れています。
地球の平均の3倍で温暖化が進む北極圏で、伝統的な生活を変えざるを得なくなっているグリーンランドの人々。
その変化を自分たちの利益に変えようとするのを、地球温暖化の原因を作った先進工業国は決して責めることはできないのです。
引用画像:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Greenland_on_the_globe_%28Greenland_centered%29.svg
参考サイト:
グリーンランドではいま、温暖化によって毎秒1万トンの氷が消えるという。だが、温暖化が漁業や資源開発にプラスに働き、グリーンランドに恩恵をもたらすとともにその地政学的価値を高めているのも現実だ。米中からのアプローチをテコに、デンマークとの間に植民地時代から残る従属関係を解消しようとする動きは、先進工業国に重い問いを投げかけている。TBS報道局外信部・秌場聖治氏による現地レポート。